鯖江メガネファクトリー

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HOME > ゲンバシュギ > 048 今川心平(若手眼鏡職人)

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今回のゲンバシュギは、これまでに登場された職人さんの中でも最年少!22歳のメガネ職人です。メガネ業界でも後継者不足が問題となっている今、期待の若手メガネ職人・今川心平氏は、大学在学中にメガネ業界に憧れ、単身鯖江に飛び込んだ行動力の持ち主。その経緯とは?これからの意気込みは?とてもフレッシュで夢の溢れるインタビューとなりました。

若手メガネ職人、誕生秘話。

img4.jpg今川心平氏 -- 今川さんは、もともと大阪がご出身ということですが、どうしてメガネ職人になろうと思われたのですか?
大学在学中に「河和田アートキャンプ」に参加していました。(※河和田アートキャンプとは、2005年から鯖江市河和田地区で毎年夏に行なわれている滞在型のアートプロジェクトです。県内外の大学生が、河和田の土地や工芸、人と関わりながら美術作品の展示やワークショップを行っています。)毎年1ヶ月河和田に滞在していく中で、鯖江がメガネの産地だということを知ったんです。

-- なるほど。アートキャンプ中にメガネ作りに関わることがあったのですか?
「せっかくだからメガネをデザインして作ろう!」というプロジェクトが持ち上がって、私もそれにプロジェクトを企画する側として参加していました。それがきっかけでメガネ作りの現場を見学させていただく機会をいただいて。

-- そこで、「メガネ職人になろう!」と?
「自分にはこれしかない!」と思った…わけではないのですが(笑)、現場を見学した際に緊張感があってかっこいいなと思ったのを憶えています。それに、大学ではプロダクトデザインを学んでいたのもあって、自分の手で作って形にして生み出したものを第三者に使ってもらうということに魅力を感じて、この業界に飛び込みました。

-- 本当に凄い行動力だと思います。でも、プロダクトデザインを勉強されていたのに、どうしてメガネのデザイナーではなく、メガネ職人の道を選ばれたのですか?
もともと在学中から、パソコンに向かってデータ上でアイデアを考えることが自分には合っていないと思っていて、実際に手を動かしながら考えてものを作りたいと思ったからです。でも、ゆくゆくはデザインもやってみたいですね。

-- メガネ業界に入られてまもなく1年ということですが、メガネ作りの難しさはどういうところにありますか?
うちの会社は、セル板を切り出すところから検品に至るまで、メガネ作りのすべての工程を行っていて、しかも1日で色々なフレームを加工したり、時間を置かないと出来ない仕事があったり、とにかく全体の状況や流れを把握していないと今何をやらなきゃいけないのかが分からなくなってしまうんです。入社した時も今もそれが一番大変ですね。

-- メガネの工程だけでもものすごい数がある上に、扱うフレームも様々だと頭がパンクしそうですね!
入社したての頃は、ストレスでハゲるかと思いました(笑)。

-- そんなに!やはり先輩方は職人気質の厳しい方々なんですか…?
いえ、入社したばかりの頃はメガネ作りのことは何も分からなかったので、本当に手取り足取り教えてくださいましたし、失敗しても怒られるということはありませんでした。でも、私が失敗した商品を後で先輩が修正して直してくれたり、フォローしてくださっている姿を見て、申し訳ない気持ちが湧いてきて辛かったですね。

-- たしかにそれは辛いものがありますね。失敗はたくさんしましたか?
失敗しまくりでした。練習期間があるのかと思いきや、入社当日にいきなり商品を使って作業をさせられたので、かなり緊張しましたね。

-- えー?いきなりですか?
そうですね。入社の挨拶が終わって、その後「ちょっとこっち来て。」って呼ばれて、それから今に至ります(笑)。

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夢はメガネ作りのマルチプレーヤー!

-- 今は、どういう工程を担当されているんですか?
img2.jpgメガネを作りながらデザインを考えていることもあるという今川さん。おうちでは眼鏡のデザイン画も描かれるそうです。担当は特になくて、ひと通りの工程をします。日によっても仕事内容は違いますね。ただ、去年の8月から「合い口カット」という工程は私が専属で担当させてもらっています。

-- 「合い口カット」とは、どういう工程ですか?
テンプルとフレームの合せ面を、専用の機械で隙間なく合うように切って調整する作業です。

-- なんだか難しそうですね。
機械のネジやレバーのセッティングが繊細で、セッティングによって仕上がりが全く違うので難しいですね。でも任された以上は、良いものを作りたいです。

-- では、やりがいを感じる時はどういう時ですか?
何十枚何百枚というロットでメガネを加工するときに、手作業なのでなかなか全く同じものを作るのが難しいのですが、自分が思ったとおりの仕事を均一に出来たときは嬉しいですね。あと、メガネ作りの最終工程で、バフを使って磨きをするんですが、スピードはまだまだですが磨きには自信があります。作業中はうまくいっているかどうか分からないのですが、仕上がったメガネをあとからみると「上手くいっているな」と嬉しくなります。

-- たくさんの工程を経て、ひとつになったメガネを見られるというのは、感動ものですね。
img1.jpg今覚えたい工程は、合い口をやする工程だそう。「合い口カットを担当しているので、やすり掛けも最後までしたい。」と、さすが職人!という意識の高さが伺えました。検品や梱包も担当しているのですが、市場に出ていくメガネたちを送り出すときは、特別な気持ちがありますね。

-- 入社1年目にして、時折、メガネ職人!と感じるような発言が伺える今川さんですが、今後の展望&夢はありますか?
まずは、自分のできる工程数をもっと増やして、一つひとつの工程を100点に近い状態で仕事をしていきたいです。そしていつかは、メガネも作れてデザインも出来るマルチプレーヤーになりたいですね。

-- メガネデザイナーとして活躍される際に、今の職人としてのキャリアはかなりの強みになると思います。
日本のメガネは品質では世界一だと思うのですが、例えば、家電業界でも他国の技術が日本に追いついてきたり、いつかメガネの技術も他の国に追いつかれてしまう時が来るかもしれない。そんな時にどこで勝負するか、となるとやはりデザインだと思います。メガネデザイナーとしての夢も突き詰めていくと、今現場でやっていることが活きてくると思います。

--本日はありがとうございました!最後に、今川さんにとってメガネとは?
「宇宙」です。まだまだ先が見えない、ロマンがあるということで。ちょっとクサイですけど(笑)。

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今川 心平 Shinpei IMAGAWA
有限会社谷口眼鏡 社員/若手メガネ職人
生年月日:1988年9月22日

社名:有限会社谷口眼鏡
従業員数15人
福井県鯖江市西袋町228
TEL 0778-65-0811
http://www.turning-opt.com/