鯖江メガネファクトリー

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HOME > ゲンバシュギ > 063 山川弘人(金型職人)

posted:2012.12.25

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チタンのメガネフレームを製造する「株式会社クリエイトスリー」は、ほぼ全工程を社内で一貫生産することが可能な数少ないメーカーの一つ。 自社開発の3Dソフトウェアを使い、デザイン画から試作品の製作、部品組立までを3Dの技術で行っています。今回のゲンバシュギは金型職人の山川弘人氏に、デジタル技術でつくる金型づくりについてお話を伺いました。


-- 御社のお仕事について教えてください。
チタンのメガネフレームをデザイン設計から金型製作・プレス・ロー付け・研磨・仕上げ包装まで、ほぼ全工程を社内で一貫生産しています。また、眼鏡枠製造で培った製造技術を用いて、肌にやさしいチタン製の箸などのカトラリーやアクセサリーも製造しています。

--御社のアピールポイントを教えてください。
弊社の前身「福井光器」は業界に先駆けて3Dソフトウェアを使った眼鏡フレーム生産を1994年より開始しました。現在は長年培ってきた3D技術を活用し自社開発の3Dソフトウェアを使って、デザイン画から試作品の製作、部品組立までを3Dの技術で行っています。また、最新のデジタル技術を駆使しながらも、研磨、調子取り、検品作業は1本1本、眼鏡職人の手作業で行われています。最先端技術と匠の技との融合が、弊社の「ものづくり」ですね。

グッドデザイン賞を受賞した[ミクロチタン×ムラタ・チアキ]グッドデザイン賞を受賞した[ミクロチタン×ムラタ・チアキ]グッドデザイン賞を受賞した[ミクロチタン×ムラタ・チアキ]
従来品の約3分の1という超軽量化が実現したチタン製の箸従来品の約3分の1という超軽量化が実現したチタン製の箸従来品の約3分の1という超軽量化が実現したチタン製の箸


-- 山川さんはどの工程を担当されているのですか?
部品を製造するための金型製作を担当しています。通常、金型を作るには、金型の「マスター金型」が必要なのですが、弊社ではマスター金型を作らず、全く違う方法で金型を作ります。具体的にはパソコンを使って3Dデータに作り直し、データを鋼材に直接彫り込んでいく「直彫り」加工という方法で、金型を作るのですが、それら一連の流れを担当しています。

-- 山川さんがパソコンでデータを作るということですか?
そうですね。3Dデータの作成、機械の操作、保守、出来上がった金型を磨くまでが私の担当です。

--では3Dデータを作成するメリットを教えてください。
製作期間の大幅な短縮ですね。従来の方式では6.5日かかる金型製作も「直彫り」金型ならばわずか2.5日で製作することができますし、当然コストも抑えられます。 さらに3Dデータとしてデジタル化するので、100年、200年経っても同じものを作ることができますし、世代交代で職人が変わっても同じ金型を作ることができます。

--なるほど、それはいいですね。でも2Dデータを3Dデータにするのは難しくないのですか?平面と立面の曲面を3次元にするなんて私にはできそうにありません。(笑)
そうですね。完成形を頭の中でシミュレーションしながら作っていくので、はじめは難しかったですが、慣れると大丈夫ですよ。ただ、メガネの形は3次元曲面が多いので空間認識能力がないと難しい仕事かもしれませんね。(笑)

--では、金型製作で難しいポイントを教えてください。
実は金型だけでなく、眼鏡フレームの部品切削などの土台となる「治具(じぐ)」も3Dデータで製作するのですが、難しいですね。たとえばロー付けという溶接作業で使う治具は0.1㎜単位の角度の違いだけで、セットした材料が燃えてしまうことがあるので、非常に正確なモデリングが必要です。また、金型や治具は単に作るのではなくそれを使う職人さんが作業しやすいように、職人さんの手の動きや動作を考えて設計しないといけません。そのためには作業工程の知識がないとできないし、思いやりの心も必要だと思います。難しい工程をいかにやりやすくするかが腕の見せ所ですね。


①パソコン上で3Dデータを作成します。①パソコン上で3Dデータを作成します。①パソコン上で3Dデータを作成します。


②3Dデータをマシンに送ります。②3Dデータをマシンに送ります。②3Dデータをマシンに送ります。


③マシンで金型を加工します。③マシンで金型を加工します。③マシンで金型を加工します。


④仕上げの確認。場合によっては磨きます。④仕上げの確認。場合によっては磨きます。④仕上げの確認。場合によっては磨きます。





-- メガネ業界に入られたきっかけを教えてください。
ポリテクセンターという職業訓練学校でCADやCAMを学んだことがこの業界に入るきっかけでしたが、そもそも「ものづくり」が好きというのが大きな理由ですね。出身が「今立」という和紙の一大産地、親戚は大工ということもあり、昔からものづくりが身近にある環境で育ったので自然な流れだったのかなと思います。小さな頃からノミとカンナが好きでしたね。(笑)

-- 今後の夢を教えてください。
メガネ1本が完成するまでには何百の工程があり、多くの職人さんが携わります。金型づくりはその工程の中ではじめの部類にあたり、自分が作った金型をその後の工程で携わる職人さんが使うことになります。だからこそ各工程を熟知するだけでなく、モデリングのスキルも上げ、職人さんが作業をしやすいような金型、治具を作りたいです。いくらデジタル化が進んでも、職人さんの手仕事なしではメガネは作れないので、私はデジタルの分野から職人さんの作業をアシストしていきたいと思います。

-- 本日はありがとうございました。

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山川 弘人 HIROTO YAMAKAWA
金型職人
生年月日: 1976年10月20日

社名:株式会社クリエイトスリー
創業:2011年
従業員数:46名
住所:福井県鯖江市三六町1丁目1番40号
TEL:0778-51-2833
WEB:http://www.create3.jp/