鯖江メガネファクトリー

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HOME > ゲンバシュギ > 062 田中正彦(検査職人)

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メガネの金属部品を製造する手賀精工株式会社は現在電子機器の部品を製造するなど、精密かつ高精度な技術力が国内外で高く評価されています。米粒ほどの小さい部品をつくる高い技術力の秘訣を尋ねたところ、返ってきた答えは意外な言葉でした。今回のゲンバシュギは専務の手賀栄一郎氏と製造部課長の田中正彦氏に、精密高精度な部品づくりについて伺いました。

メガネで培ったノウハウが異分野進出を可能にした

-- 御社はどのようなお仕事をされているのですか?
3.jpg精密高精度な部品づくり
【手賀専務-以下、手】金属部品の製造・販売をしており、小さく細かい部品の製造が弊社の特徴です。メガネでいいますと蝶番、リムロック、ブローチなどの部品を製造しています。10年ほど前からメガネのノウハウと技術を活かして、医療機器・電子機器・健康器具などの精密な部品を製造していますね。

--なぜ眼鏡以外の異分野の部品を作るようになったのですか?
【手】中国製品の台頭がきっかけですね。眼鏡の部品だけ作っていたのでは生き残りが難しいと考え、技術を応用して異分野の部品も作るようになりました。展示会などで自社の技術力をPRしていくことで少しずつ受注が増えてきました。
4.jpgわずか2センチの長さしかないそろばん

-- 御社の一番のアピールポイントをお聞かせください。
【手】細かい部品の加工技術です。弊社は米粒前後の大きさの切削加工を得意としています。
【田中課長-以下、田】一般的にチタンやステンレスの加工は難しいと言われているのですが、弊社は昔からメガネ部品として製造してきたノウハウがあるので、メガネの部品よりも難しい微細加工も可能になりました。特に削り出しの切削加工が得意ですね。
【手】例えば過去に2cmの長さのそろばんも作りました。実際に玉も動き使えますよ!世界で一番小さい蝶番も弊社で作りました。

-- すごい!虫メガネで見ないとわからないほど小さいですね。
【手】弊社で製造している一番細いネジは、ねじめの部分が直径0.6mmです。肉眼では見えないほどです。(笑)

-- 御社では何種類ぐらいの部品を作られているのですか?
2.jpgねじめの部分が直径0.6mmしかないネジ
【手】うーん、正直わかりません。(笑)大きさ、形、素材を組み合わせると種類は無限大ですね。蝶番だけでも何百種類とありますから、数え切れないほどの種類があります。
【田】基本的には弊社の規格品を常にストックしているので、お客様から通常の注文はそれらで対応できるようにしています。6.jpg

技術と検査が組み合わされて、いい製品になる。

-- 田中課長は、メガネ業界に入られて何年目ですか。
7.jpg手賀精工株式会社 田中正彦課長
【田】30年ほどですね。最初の10年ほどは部品製造用の機械を作ったり設備のメンテナンスを主に担当していました。

-- 機械も作るなんてすごいですね。
【田】当時メガネの部品を作る機械は自社で作っていましたね。その後は製造部に移り、異分野参入など時代の流れもあり、現在は品質管理を行っています。

-- 精度の高い部品を作る秘訣は何ですか?
【田】ずばり機械の維持管理と検査作業です。弊社が扱っている商品は精度が求められるものばかりなので、なかには±1/100mmの誤差も許されないような商品もあります。難易度は高いですが良品を出荷して初めて信用につながりますから検査は最重要工程の一つです。'技術と検査'この2つが組み合わされて初めて'商品'だと考えています。

-- なるほど。技術さえあればいい商品ができると思っていました。
【田】検査は非常に重要な工程です。弊社ではできるだけ短い納期で商品をお客様にお届けするようにしていますので、最終段階で不良品が出てしまうとお客様に迷惑を掛けてしまいます。昔は現場の担当者が中間検査、最終検査をしていました。ただ自分が作ったものを自分で検査すると、人間なのでどうしても勘違いや間違いが出てしまいます。そこでもっと完成度を高めるために、新たに品質保証部という検査部門を作り、再度検査をするシステムを作りました。今では現場責任者と検査の責任者の印鑑がないと商品が出荷できないシステムになっています。手間もコストもかかりますが、それでもやる価値があります。1つでも不良品があれば、他が良品でも全て返品になりますからね。非常にシビアな世界ですよ。さらに万が一不良品があったら、なぜ不良品が出たかを調査し、社員皆で徹底的に議論し、改善策を練るようにしています。このシステムは非常に成果がありましたね。
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検品という職人技

-- 検品の様子を見せていただいてもよろしいでしょうか?
8.jpg機械を使い、ミクロン単位まで測る測定検査
【田】ここでは測定検査と目視検査をしています。これら2つの検査に合格しないと製品が出荷できません。測定検査では大きさを測るため、顕微鏡や画像測定器を使って、ミクロン単位まで検査することで狂いがないかを確認します。目視検査では汚れや傷、異物が入ってないかなどを一つ一つ製品を検査します。

--すごいですね。私には絶対できません。(笑)
【田】ここで検査して合格した製品が世の中に出るわけなので、責任の重い仕事ですよ。誰でもできる仕事ではないので、担当の女性社員は弊社の宝ですね。

--まさに検査職人さんですね。
9.jpg経験と才能が必要な目視検査。
【田】その通りですね。ものづくりといえば製造が注目されがちですが、検査もまた技術力が必要とされる大切な工程です。検査は、経験さえ積めば皆ができる仕事ではありません。器用さや根気が備わっている人でないと務まらないので、採用の段階で実技試験をさせて頂き、パスした精鋭のみ検査担当になれるわけです。

-- 今日はどうもありがとうございました。

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手賀栄一郎 Eiichirou TEGA
専務取締役
生年月日: 1967年7月3日

田中正彦 Masahiko TANAKA
検査職人/切削加工職人
生年月日: 1961年2月24日

社名:手賀精工株式会社
創業:1956年
従業員数:40人
住所:福井県鯖江市有定町1丁目6-14
TEL :0778-51-4350
ホームページ: http://www.tegaseiko.co.jp/