鯖江メガネファクトリー

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HOME > ゲンバシュギ > 059 加藤悠(プラ枠削り職人)

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鯖江市に社を構える有限会社ヤマミネは、プラスチックフレームの削り加工を行なっています。社長である加藤悠氏は、なんとメガネ業界歴3年目、若干25歳のフレッシュな社長さんです。メガネ作りについてはもちろん、先代であるベテランメガネ職人のおじいさまについてもお話を伺いました。後継者不足が心配されるメガネ業界ですが、若社長のメガネ作りにかける思いを伺い、メガネ産地鯖江の未来を垣間見るインタビューとなりました。

お客さんの声に合わせたメガネ作り

--貴社ではメガネ作りのどの工程をされているんですか?
img4.jpg1枚のプラスチック板が、プレスやカットを経て、メガネの形になっていきます。 うちでは、プラスチックフレームの削り出しを行なっています。

--削り出しとはどういう工程なんでしょうか?
材料となるプラスチック板を、メガネフレームの形にカットして形を出す工程です。ガラという研磨剤の中に入れて磨きをかける直前までをうちで行なっています。

--プラスチック板の状態からメガネのフロントの形にするまでをこちらで出来るんですね!具体的にどういう流れでメガネの形になっていくんでしょうか?
まず、プラスチック板をメガネフレームの大きさにカットしていきます。これを小断ちというんですが、そのままの状態でカットするには少し硬いので、このオーブンのような機械で少しだけ温めて柔らかくしてカットします。

--なかなか年期の入った機械ですね!
どれも私より年上の機械ばかりですね(笑)。プラ板をカットできたら、次に板にカーブを付けます。これを押さえと言って、温めたグリセリンにプラ板を浸して温めてから、金型でプレスして湾曲を付けます。

--だんだんメガネらしい形になってきましたね。
img2.jpgそのあとに、プログラムがされた機械で、図面に合わせてフレームの形にカットしていきます。

--このプログラムは社長がされるんですか?
そうですね。お客さんからメガネの図面をもらって、どうやってカットすればいいかを考えて、機械に刃が通る道筋をプログラミングしていきます。この機械はもともと鉄工用のものなんですが、刃の部分をメガネ用に特注して使っています。

--なるほど~。この機械でほとんどのカットができるんですね。
そうですね。1枚あたり約3分ほどで、外形・内径を削り、レンズの溝を入れ、面の角を削ります。 この後は、別の機械でフレームの裏側を凹凸のある厚みに削りだします。フレームの裏の上下が若干薄く、窪んでいるでしょ。その部分です。 複雑なカットが必要なメガネの場合は、このあとに手作業で削り出しを行います。これは私の祖父がするんですが、祖父はとにかく作業が早くて、少ないロットなら機械よりも祖父の手作業のほうがずっと早いんですよ。
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--作業をしていて、難しいと感じるところはどこでしょうか?
どこも難しいですが、初めて注文が来るフレームは、お客さんの要望を聞いてそれに出来るだけ合わせていきたいので、そこが大変ですね。

--では、お仕事をする中で心がけていることは?
この次の工程をする仕上げやさんが仕事がしやすいように、カットで出た角や段差をヤスリで滑らかにするようにしています。次の工程ではガラという機械にフレームを入れて磨くのですが、少しの角や段差も磨いた後では、細かいヤスリしか使えず時間がかかるんです。あえて角を残しておくデザインもあるので、そこはお客さんの要望を聞いて合わせています。

--ここだけは負けない!というこだわりを教えてください。
機械でプログラムしてカットをするので、どんなカットでも正確にできます。また、難しい面取りや、フレーム表面にカットを使った模様も出すことが出来ます。複雑なフレームでも、何度でもサンプルを作りますので、実際に見て確かめることが出来ます。大手では難しい小回りのきくところも会社のセールスポイントです。
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MADE IN SABAEを担う若手職人の想い

-- 貴社は社長のおじいさんが創業されたんですか?
img3.jpg加藤 悠氏 そうですね。昭和37年に会社を立ち上げました。祖父も高齢になってきて会社を継続するのが難しいかなという時に、ちょうど私が大学を卒業したので、後を継ぐことに決めました。

-- もともとメガネ業を継ぐおつもりだったんですか?
実はその気はなかったんです(笑)。ただ、モノを作る仕事がしたいという想いはあって、大学ではプログラミングの勉強をしていました。この業界に入って、データ上だけではなく実際に素材に触れてものを作ることの楽しさを感じていますね。

-- 社長から見て、おじいさんのどういうところがスゴイ!と思いますか?
メガネ作りの歴史を見てきた人なので、メガネ作りに関しては何でも知っているところですね。作業する中で、まずいことがあっても修正するノウハウをたくさん持っているので心強いです。新しいフレームの注文がきたら、どう作るかを祖父と一緒に見極めています。

-- メガネ業界に入られて、3年目ということですが、おじいさんから会社を任されてプレッシャーはありませんか?
img1.jpg加藤 悠氏 職人としてはまだまだこれからですが、今まで祖父の名前で信頼されてきたうちのメガネが、自分が継いで品質が悪くなったと言われないように責任を持ってやっています。
-- それでは最後に、社長の展望を教えてください!
まず売上をもっと上げることですね。一緒に働いている祖父や祖母に楽をさせてあげたいです。今はまだ祖父が築き上げた信頼を裏切らないことに一生懸命ですが、これからはいろいろ挑戦していき、自分で出来ることを増やしていきたいですね。私の周りのメガネ屋さんも、だんだん代替わりをしているので、若い職人同士繋がってメガネ産地を盛り上げていきたいですね。

--本日はありがとうございました!

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加藤 悠 Yuuki KATO
有限会社ヤマミネ 代表取締役
プラ枠削り職人

社名:有限会社ヤマミネ
従業員数:5人
福井県鯖江市糺町37-49
TEL 0778-51-3316
FAX 0778-51-9303