鯖江メガネファクトリー

ゲンバシュギ

 
 

以前、「メガネザンマイ」にて、メガネ小売店や一般向けに「手作りメガネ教室」を実施しているサン・オプチカル株式会社を紹介しました。今回は、社長の竹内公一氏に教室が誕生した経緯や、メガネ作りの職人であるご自身についてお話しして頂きました!

「売る」ではなく、「教える」営業。



このユニークなメガネは、どちらもショー用。この様な仕事ができるのも、小ロット生産だからこそ。

--社長がこの業界に入ったきっかけは?

私のメガネ人生は、父の実家である竹内光学株式会社の社員としてスタートしました。そこでは、メガネ作りのほぼ全ての工程を学ばせてもらい、非常に勉強になりました。また技術面だけでなく、営業として外に出る機会もあり、ノウハウを学びました。当時は、景気も良くて、作れば売れた時代だったので、注文も1型100ダースが最低ロットでした。

--この会社はどういった経緯で設立したのでしょうか?

サン・オプチカル株式会社は、私の父が昭和39年に、竹内光学株式会社から分かれ、セル枠専門の会社として設立しました。もともとは販売のみの会社でしたが、現在は200-300枚の小ロットの生産や、オーダーメイドも行っています。

--お父様が創業されたのですね。どんなお父様でしたか?

そうですね、父からは仕事に対する姿勢を教わりました。「仕事をするということは1ヶ所で足踏みしないということ」とよく言っていました。また仕事は「材料を分けて頂く」「外注さんに仕事をして頂く」ということで、常に回りの人あって自分の仕事ができるということを忘れるなと教わりました。これらのことは今でも常に肝に銘じています。

--なるほど。足踏みしないで常に進み続けたことが、メガネの手作り教室につながったのですか。教室が出来たのはいつ頃ですか?

そうですね。教室は9年ほど前から始めました。もともとは、展示会でお客さん(小売店)を呼び込む一案で、メガネの修理実習を会場でしたんです。

--修理実習というのはなかなかユニークですね!

私は、メガネを作る仕事も、メガネを売る仕事も対等な関係だと思っています。現場で働く私達は、仕事を受けるだけでなく、何か発信出来る事があると思いました。「売る」だけではなく、「教える」営業ですね。小売店の販売員の方も修理の方法などは分からないわけです。簡単な修理の仕方を教えてあげると、眼鏡に対する知識が深まり、お客さんにも喜ばれたそうです。小売店の皆さんとそんな対等な関係を築くために、修理実習を始めました。

 

 

メガネ好きを増やしたい。

--その修理実習がきっかけで、展示会場だけでなく、本社でも手作りメガネ教室を開く事になったのでしょうか?




(上)自社ブランド「越前化石」。今年の「東京ガールズコレクション」にて、司会の宮川大輔さんにプレゼントした品。「実は随分前に作ったデザインで、ずっと倉庫に眠っていたんです。THE291のために、発掘しました(笑)これがなかなかシブイ味を出しています。」(中)可愛いアクセサリーも製作中。(下)こちらは、デコレーションパーツを使ってオリジナルリングが出来る「デコるアクセサリー」。

修理実習で、ある小売店の方が、「実際に自分でメガネを作ってみたい。」と仰ってくださったのがきっかけですね。

--今では、一般の方もたくさん体験にいらっしゃいますよね。

そうですね。始めた当初は年間20人ぐらいでしたが、今年はもう200人以上来てくださっています。その9割の人が一般の方ですね。実は、以前体験にいらっしゃった方で、それがきっかけで眼鏡職人になり、鯖江に住みはじめた方もいるんですよ。

--それはすごい影響ですね!自分でオリジナルのフレームがオリジナルで作れるなんて、なかなか出来ないですからね。

皆さん、熱心に作られるので、なかなかの出来栄えです。私自身、お客様の作品に刺激を受けることも多々あります。また今年の夏休みには、子ども達が眼鏡の材料を使ったアクセサリーを手作りし、販売するという「キッズ・チャレンジ」を行いました。すごくいい勉強になったのではと思いますね。自分でモノを作り、それを売る喜びはもっと多くの子どもたちに体験して欲しいです。どんな形であれ、この手作りメガネ教室を通して、メガネ好きが全国に増えてくれれば良いですね。

--それでは、今後の展望は?

細く長く、モノづくりを多くの人に継承していければと思います。息子が跡継ぎとして働いていますが、今は息子に負けじともっと頑張りたいですね、1ヶ所に足踏みせずに。

--現在、息子さんも跡継ぎとしてご一緒にこちらで働いておられるという事ですが、ズバリ息子さんに期待されている事は?

メガネ作りに絶対必須の事だけは教えているけど、あとは自由にやりたいようにすれば良いと思います。失敗して覚えていけばいいんです。自由な発想で、ものづくりも進化していかなくてはね。

--ありがとうございました!

 

※「キッズ・チャレンジ」…鯖江市が今年夏に実施した、子どもたちを対象にした職業体験。商品の企画・生産・販売の一連を分担して行うことで、経済の流れや商売について学習できる。

 

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  • 竹内公一 Koichi Takeuchi
  • 業   種:セル枠職人
  • 生年月日:1950年2月9日
  • 社   名: サン・オプチカル株式会社
  •       1964年設立
  • ホームページ:http://www.sunoptical.co.jp/

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