鯖江メガネファクトリー

ゲンバシュギ

 
 

メガネを選ぶ条件として、デザインや装飾に大きく左右される人は多いのではないだろうか。(株)山田眼装は眼鏡装飾の先駆け的存在である。今回は人生の半分を七宝装飾(樹脂による装飾)に捧げる七宝職人、佐々木信一氏(以下 佐)にお話を伺った。


失敗の連続。

--まず、メガネ業界に入ったきっかけを教えてください。

佐)私が大学に通っていた頃に、知人の紹介でこの会社の全身にあたる会社でアルバイトをしていたんです。その後大学を卒業する時に、就職したいところがなく、どうしようかと迷っていた時に、当社の社長から「しばらくここで働いたら」と、声を掛けてもらったのがきっかけですね。以前から七宝の仕事は面白いと感じていたし、時間に縛られることなく、自分のスペースで進めることができる個人作業ということもあって、自分に合っていましたね。もともと手先の細かい作業が好きだったんですよ。

--七宝をされる上でのご苦労は?

佐)七宝は、産地の中では当社が最初にやり始めたことなので、先生がいなかったんですよね。自分自身の手先の感覚で、習得していかなければならない。樹脂の固さ、色、盛り具合などは、自分自身がやってみなければ分かりません。新しい枠や規格の作業をする時は、大抵一回は失敗します。失敗の連続。失敗する事で学習していくんですね。

息の詰まりそうな作業を、難なく仕上げる佐々木氏。

--先ほど非常に細いリム(眼鏡フレームの部分)に七宝を施されていましたが、どんなものにも塗れるんですか?

佐)メガネに関しては、どんな素材、形でも加工は可能です。メガネをぱっと見て、どのように施したらいいか判断できるようになりました。その辺が熟練の部分ですね。七宝がはみ出さないようにマスキング(テープを張って、不要な塗装を避ける)方法もありますが、我々からしたら邪道です。先程工場で作業をしていた人達は、皆10年以上七宝に携わっているプロです。入社して4〜5年は、ワンポイント程度の七宝はできますが、ものにはならないですね。

七宝で加飾されたテンプル(メガネのつる部)。 繊細な柄をマスキングなしで職人の技のみで仕上げる。

広い視野を持って。

--このお仕事をされるうえでの「こだわり」は?

佐)こだわりというか、きれいな商品をいかに早く、確実に仕上げるかということが大事だと思ってます。見た目にきれいな枠を作るということも大切ですが、あくまでも商売ですので、「商品」として、いかに質の良いものを作るかということが大切です。

--これだけは負けないというものは?

佐)お客さんの要望に沿った商品を、出来る限り早く、確実に仕上げるということに関しては、他社には、決して負けないと思ってます。

--このお仕事をしていて転機はありましたか?

佐)どうでしょうね(笑)。のんびりとやってますからね。この仕事が好きで、楽しい事、自分の好きな事を毎日やらせてもらってるという感じです。

七宝によって美しく装飾されたライター

--これから挑戦したいことはありますか?

佐)当社では、ここ数年、メガネ以外にも、ライターやバッジ、アクセサリーなどへの七宝加工を行っています。これら異業種の仕事は、単価も違いますし、考え方も違います。そういうことをするのは、非常に勉強にもなるので、今後もメガネのみにこだわらず、色んなものに七宝を施していきたいと思っています。

--次世代へのメッセージをお願いします。

佐)メガネへの七宝の技術を高めることはもちろんのこと、異業種にも眼を向けていかないと、なかなか苦しいと思います。もちろんメガネは大事ですけど、視野を広げていくことも大事だと思います。

--あなたにとってメガネとは?

佐)今、入社して25〜26年で、人生の半分はメガネに携わっていることになります。メガネが人生といっても過言ではない。色んな意味で、経済面はもちろんですが、精神面、生活全般にわたって、「生活の糧」といえますね。

 
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  • 佐々木 信一 Shinichi SASAKI 
  • 業   種: 七宝職人
  • 生年月日:  1957年7月3日
  • 社   名: 山田眼装株式会社
  •        1978年創業/従業員数24人
  • ホームページ: http://www.gansoh.jp/

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