鯖江メガネファクトリー

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HOME > ゲンバシュギ > 056 内田孝昭(プラ枠/コンビ枠職人)

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内田眼鏡では、プラスチック枠・コンビ枠のメガネの製造を行っています。こちらでは大口の受注生産だけでなく、1本からのオーダーメイドメガネも製造しており、日本全国からオーダーが入る程の人気です。糸ノコやヤスリを使用し、まさに「手作り」で丁寧にメガネ作りをされる姿勢について、この道50年のメガネ職人である内田孝昭氏にお話を伺いました。

1本から注文出来るオーダーメイド眼鏡

--内田さんはどういった工程をされているのですか?
img3.jpg内田孝昭氏 メガネ作りの1~10までしています。芯張りなど一部の工程は、他の職人さんにお願いするけど、だいたい一通りするね。プラ枠が主だけどコンビ枠も作ります。

--1~10までとは?
うちは生地もたくさん置いてあるのでそこから生地を選んで眼鏡の形に糸鋸で切り出すところから、テンプルの裏に入れる刻印まで、ここにある機械で全部できるよ。

--作られているメガネは企画会社から依頼されて作られるんですか?
そうやね。企画をされている会社から図面を貰って作ります。あとは、オーダーメイドで1本から作ることもしています。

--1本からですか!?
img4.jpg普通では機械でカットしてしまうプラスチック板を、内田さんは糸ノコであっという間に切り出し、ヤスリで丁寧に削ります。 例えば、既製のメガネを持っていて「これの色違いを作って欲しい」っていう依頼だったり、自分でデザインしたものだったり。

--色々な所から注文が来ているんですね。皆さんどこで聞きつけてくるんでしょうか。
元々オーダーメイドはしていましたけど、3年前くらいにテレビの取材を受けてその時に、ある俳優さんがうちに来て、彼のメガネを作ったんです。それから他の芸能人の方や全国からオーダーメイド依頼が来るようになったね。

--それはすごい!一見さんでも、オーダーできますか?
できますよ。セル枠、プラ枠、コンビ枠なら何でも作れます。

--1本仕上げるのにどれくらいかかるんでしょうか?
作る工程を言うと、プラスチック板からメガネの形にするまでで大体1日くらい。それから鼻パッドの溶剤を乾燥させたり、ガラ出しして磨いて、組み立てるのでトータル3~4日かな。でもそれはあくまでそれにかかりっきりで作ったときの最短の時間。一人でやっているし、他の仕事も同時進行でするから、お客様には1~3ヶ月くらいは余裕を見てもらってます。

--メガネ作りで難しい所はどこでしょうか?
img2.jpg蝶番を付ける前にあらかじめ溝を掘る。この溝の位置が見た目や掛け心地にも影響してくる。 図面から立体にする中で、色々と不具合が出るね。平面と立体は印象が全然違うからね。出来上がってみてお客さんに「思っていたのと違う」って言われたくないから、図面の段階で、「ここは難しい」「こうした方がいい」と相談します。たまに意見が合わないときもあるけど、無理して図面どおりに作ると、必ず完成してから不具合が出たりするのが経験として分かるわけ。そこはやっぱり作り手として自分の意見を曲げないね。

--お仕事をされていて一番気を使うところはどこですか?
img5.jpgフレームを機械に挟んで合い口をカット。フロントとテンプルが隙間なくピタリと合うのはまさに職人技! 最後の組み立てのときの蝶番付けが気を張るかな。蝶番を付ける為の溝を掘ったり、組み立てた後に合い口(テンプルとフロントの合わせ目)をカットしたりというのは、お客さんの掛け心地にも見た目にも影響の出るところだから、今までの経験と感覚を頼りに仕事をします。

--ところで、修理品もたくさん置いてありますけど、修理もしていらっしゃる?
そう。修理の眼鏡も結構あるね。随分古いもので新しく買ったほうが安くなるという眼鏡でも、大切な思い出があるのでしょう、修理に出してこられますね。最近は中国製の直しも多いね。どの部分が一番壊れるかというと、蝶番ね。やっぱり作り方が脆いね。
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頼りにされる喜び

-- 内田さんはどうしてメガネ職人になられたんですか?
img6.jpg先代から丁寧に使い続けている機械。 家業を継ぐのが嫌だった(笑)。だからメガネ屋をしていた叔母のうちで修行させてもらって、結婚して義理の父がやっていたこの工場(こうば)を継ぎました。

-- そうだったんですか。
オーダーのメガネは先代の時からしていて、その時はセル枠専門だったんだけど、オイルショックの時期からコンビ枠もするようになって、それから25年間くらいはコンビ枠だけ作っていたね。多い時は月産3000枚ぐらいは作ったかな。

-- 1人前になるにはどれくらいかかりますか?
その人の気持ち次第だね。人によって器用さも違うしね。現在活躍している若手眼鏡職人がうちに修行に来て、先代が付きっきりで3年ほど教えたかな。すごくやる気のある子だったけど、それでも全工程は教え切れなかった。独立してからも分からないところがあると訪ねてきたね。自分で作って、試行錯誤の経験を積まないとなかなか一人で何でも出来るようにはならないね。

--「ここだけは負けない!」というこだわりはありますか?
img1.jpgレンズをはめ込む為の溝をつける作業。力加減は内田さんの感覚次第です。 うちは本当に手作りでメガネを作っているから、その丁寧さかな。最近では手作りと謳っていても工程のかなりの部分を機械に頼っているところもあるからね。最初の生地からの切り出しで糸ノコを使いこなせる職人さんも減ってきていると思うよ。

--では最後にメガネ作りをしていて良かったと思えることは?
いろんな人が頼ってくれるってことかな。「内田さんがいないと出来ない」と言って仕事を持ってきてくれる会社もあるからありがたいね。

--本日はありがとうございました!

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内田孝昭 Takaaki UCHIDA
プラ枠/コンビ枠職人
生年月日:1945年9月4日

社名:内田眼鏡
従業員数:2人
福井県鯖江市西袋町16-7
TEL 0778-65-0126