ハヤカワメガネはメガネの製造を一貫して行っています。社長であり、職人である早川善徳さんは昔ながらの職人気質で、若手メガネデザイナーの方からも信頼され、慕われています。今回は早川さんに、職人としての心構えやこれから職人を目指す若者にアドバイスを頂きました。
常に挑戦。
早川善徳氏--御社ではどのようなお仕事をされているんでしょうか？
いろいろしますよ。デザイン画を持ち込まれて、完成まで引き受けることもあるし、パーツだけ作るときもあります。
--御社ではセルフレームとメタルフレームのどちらも製造されるんですね。
もともとはメタル専門だったんだけど、「セルも出来たらいいな」と思って自分で勉強しました。
--他社に負けないこだわりはありますか？
得意なのはコンビ枠（セルとメタルを組み合わせた枠）ですね。
--セルとメタルの両方が出来る早川さんならではの技ですよね。見た目もおしゃれですね。
時間がかかるからロット数は少ないけど、型が要らない分、型代が掛からないって言うメリットがあるね。
--早川さんはおしゃれで個性的なデザインのメガネを多く依頼されていますよね。作るのが難しい依頼はありますか？
しょっちゅうあるよ。毎回が初めての挑戦だね。でも、若い子たちが作るブランドにこっちもついていかなくちゃね。
--そんなに難しいと、お断りすることはないんですか？
手間が掛かるからできないと言うことはないね。やろうと思うかどうか気持ちの問題。だから引き受けるよ。それに「出来ない。」というのはメガネ産地鯖江としてみっともないでしょ。なんとしても「やってやる！」って気持ちだね。
--職人ですね！
だから僕はやったことがないことでも、まず出来るって言うね。それから、今までの自分の経験、技術を総動員してどうやったらできるか、とことん考える。
--失敗はありますか？
あるよ。失敗するけど、最終的に商品は完璧なものを出すよ。毎回手探りだけど、欠陥品はダメ。厳しい世界だけど、頭を柔らかくして色々な方法を探して試しています。行き詰ってどうしようもないときは、この業界のいろんな人にきいて回ると皆優しく教えてくれるんだよ（笑）。
何でも出来る職人に。
--早川さんはメガネ業界歴はどのくらいになるんですか？
もう35年ちょっとになるね。
--メガネ業界に入ったきっかけを教えてください。
父親がメガネ職人だったんだよ。
--では、メガネ作りの技術はお父様から教わったんですか？
最初はメガネメーカーに勤めて、メガネ作りの基本を習いました。でもそのときからいずれは親父の後を継ごうと思っていたから、時間が空くと、自分の担当部署以外の部署に行って技を盗んでいたよ。他の人とちょっと心構えが違っていたわけ。それから、父のところに戻ってメガネ作りのほとんどの工程を教わりました。
--早川さんからみて、お父様はどのような職人でしたか？
すごくいい腕を持った職人だったよ。現場では割と自由に仕事をさせてくれたね。今でも近所の人たちに父の職人としての腕を褒められると、一番嬉しいね。
NC操作は奥様が担当--奥様からみて、早川さんはどのような職人ですか？
職人気質の人ですね。お客さんに出すものには徹底的にこだわります。
--奥様もメガネ作りをご一緒にされているんですか？
私はコンピューターを使った機械の操作をしています。最終的な手仕事は主人に任せています。メガネをわかっている人が側にいるから安心して仕事ができますね。
ミニチュアメガネのストラップ--コンピューターの操作は難しそうですね！
今年の２月に機械を購入して、扱いは全くの初めてだったんですが、もともと機械をいじるのは好きだったので抵抗なく操作出来ました。その練習がてら作っていたのが、メガネのストラップ（写真）で、できたものを友人にプレゼントしていたら、評判が良くって、販売することになりました！鯖江市の観光案内所に置いてもらってます。
--跡継ぎのご予定は？
最近次男が継ぎたいって言いだしてね、メガネの図面を描いてきたんだよ。
--じゃあ、オリジナルブランドも夢じゃないですね！
もしそうなった時は、息子にはデザインや営業をして欲しいんだけど、本人はものづくりがしたいみたいで…。でも嬉しかったね。
--最後に、この業界を目指す若い人達にメッセージを！
完成して初めて評価される世界だから、１つの部分（工程）だけ考えるんじゃなくて、広い視野を持って色々なことを知っておくべきだね。
-- 今日はどうもありがとうございました！
早川 善徳 Yoshinori HAYAKAWA
ハヤカワメガネ 社長 / コンビ枠職人
生年月日：1957年9月22日
社名： ハヤカワメガネ
1975年創業／従業員数3人
鯖江市寺中町29－7
