株式会社ワカヤマは、各種メッキや塗装といった表面処理を行っている会社です。今回はそちらで働く塗装職人西岡新平さんをご紹介します。
若干28歳の塗装職人!
-- 御社では塗装やメッキを専門にされていると伺いましたが、西岡さんはどのようなお仕事をされているのでしょうか?
カラー課という塗装を担当する部署の係長をしています。焼き付け塗装やウレタン塗装のリーダーのようなポジションです。
-- ところで、メッキと塗装の違いは?
メッキは電気化学反応によって、目的とした素材に金やニッケルなどの金属の層を形成させること。塗装はペンキつまり樹脂をスプレーガンやはけ塗りなどで表面につけるものです。ペンキはホームセンターで売っていますが、メッキは売っていません。
-- では焼き付け塗装やウレタン塗装とはどういったものなんでしょうか?
焼付け塗装されたフレーム
ウレタン塗装されたフレーム
焼き付け塗装は、金属に対してメラミンやアクリル等の塗料をスプレー塗装し、170度で焼いて定着させ硬度や耐薬品性を上げます。ウレタン塗装はウレタン塗料というものを同じように吹き付けて常温で乾燥させて定着させます。プラスチック製品など焼付け塗装ができない品物を色付けしたい、光沢を出したい、高級感を出したい時に用いられる塗装です。
-- 塗料を吹き付けるとき、ムラが出来たり、塗り残しが出来たりしないんですか?
塗装の現場にはゴミは大敵!現場に入るときは専用の作業服を着て外からのゴミをシャットアウトします。もちろんカメラも入ることが出来なかったので窓越しに撮影しました。
失敗がないように、スプレーの力加減や手首の動きなどに注意して吹き付けます。
-- まさに職人芸ですね…!
温度や湿度でも色のノリが変わってくるので、その辺りも注意して作業しています。この時期は暑くて塗料の中に含まれているシンナーがすぐに乾いてしまうので、きれいな艶が出にくくなります。そこで塗料調合の際にシンナー量を調整したり、テクニックで補いながら、いつもと変らない艶を出すようにしています。
-- カラーリングは西岡さんからお客様に提案することもあるんですか?
直接お客様と話すことはないですね。社長がお客様から注文を聞く際に、できるかできないかの判断をして仕事を請けます。受注した仕事は難しくても、何とかお客様の希望に添えるように頑張ります。
-- カラーリングのバリエーションは西岡さんが考えられるんですか?
展示会の度に新色を考えますね。チームの皆で考えて、社長にゴーサインを貰えたら作るという感じです。次のアイデアも頭の中にはありますよ。
失敗を糧に挑戦。
-- 西岡さんは眼鏡業界に携わってどのくらい経ちますか?
現在、メガネ以外の塗装も請け負っていますが、「メガネの塗装が一番難しい」そうです。
高校を卒業してからこの会社で働かせてもらっているので、もう10年ですね。
-- お若いのにもうベテランの域ですね!お仕事現場も若い方が多いような印象がありますね。
塗装をやってるのは全部で5人で、私が一番先輩ですね。
-- お仕事をしていて分からないときはどうされるんですか?
教えてくれる人がもういないので、自分でインターネットなどで調べて、試作を重ねながら方法を探ります。上手くいったときはとても達成感がありますね。
-- 同世代の後輩を指導していくのは難しいですか?
難しいですね。歳が近いとつい友達感覚になってしまって、ビシッと言う時とのメリハリが難しいですね。でも仕事に関しては細かいことまで注意しますから、きっとうっとうしいと思われていると思いますよ(笑)。
-- なるほど。ずばり西岡さんはご自分で判断して、厳しい上司だと思いますか?
口うるさいけど優しい方だと思います。社長には「もっと厳しく!」と言われています(笑)。
-- 西岡さんから見て、今の若い世代はいかがですか?
そうですね、まだまだ仕事に対して甘いと思います。でもそれは昔の私も同じだったので、これから成長してくれればいいと思っています。
-- 10年間塗装の仕事をされてきて、スランプはありましたか?
何度もありました。最初の1年はいろいろ出来るようになって楽しくて、何でも出来る気になってしまうんですが、だんだん思うようにいかなくなって壁にぶつかりました。そのときは仕事にいくのが嫌でしたね。今でもまだまだですけど、昔に比べて失敗を糧に挑戦できるようになったり、前向きに考えられるようになったと思います。
-- 素晴らしいですね!一人前になるにはどのくらいかかりましたか?
最近の若者には野心を持つ人が少ない。その態度はあたかも「育ちなくない」と成長を拒んでいるようだ。そんな中、西岡君は「情熱を持って仕事をしてくれている頼もしい存在」と若山社長も太鼓判!
まだまだ一人前だとは思っていません。「1年で何でも出来るようになれ!」というのが社長の言葉なんです。でも、長くやればやるほど奥深さを感じています。眼鏡の小売店で塗装のきれいな眼鏡を見つけると、自分の技術はまだまだだなぁと思ったりもします。
--なるほど。今後どのような職人になっていきたいですか?
お客さんからのどんな要望にでも応えられるように頑張っていきたいです。
--今日はありがとうございました!
塗装職人