鯖江メガネファクトリー

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HOME > ゲンバシュギ > 058 服部勲/祥也(金型職人)

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メガネの金型・治具製造を行う有限会社服部製作所では、チタンによるメガネパーツの製造も行なっています。チタンはメガネの材料として多くのメリットがある一方、加工の難しさがネックになっています。しかし、服部製作所では長年の金型作りの技術の生かして、チタン加工のレベルを高めています。社長の服部勲氏(以下:社)と、そのご子息であり、チタン加工のプロ「チタンクリエーター福井」にも所属する、服部祥也氏(以下:祥)にお話を伺いました。

メガネ作りの要・金型

--貴社ではメガネ作りのどの工程をされているんですか?
社)本職は、メガネ作りに必要な金型や治具(メガネのパーツを加工するときのガイド)の製造をしています。その金型を使ってメガネのパーツ製造も行なっています。

--金型を作るときは、お客さんからの図面をもとにして作るんですか?
img3.jpg服部 勲氏 社)金型の図面が初めからあるわけではありません。お客さんからは「こういうメガネを作りたい!」と、メガネの図面を頂きます。それを元に、どういう型を作れば図面の通りのメガネができるのかを考えて金型作りをします。中には図面がなくて、ラフスケッチでメガネのデザインを持ってくるお客さんもいますよ。

--スケッチから、どんな型を作ればいいのかなんて分かるんですか?
社)だいたいのメガネのイメージを見れば、どういう作り方をすればできるのかというのは分かりますね。
祥)完成形のメガネの形から逆算していって、どういう金型を作ればいいかを考えます。

--特に印象に残っているメガネはありますか?
img6.jpgその際に作られた、フレームの原型。 社)チタンの1枚板をひねったり、叩いたりして立体的な形に作っていくフレームの依頼がありました。200本作るのに3ヶ月もかかる大変な仕事でした。

--元は一枚の平らな板なのに、立体的にするなんて難しそうですね。
祥)成形して立体感を出していくためには、1枚板をどういう形でカットすればいいのかを考えなければいけないですからね。
社)最近のメガネは、針金を繋ぎ合わせるような作りのものが多い中で、このメガネのように1枚板を成形していく作り方は大変でしたが、反響がありましたし、やりがいもありましたね。

--素材として扱われているチタンは、加工が難しいんでしょうか?
img1.jpg写真上のパーツを半分にカットして、曲げていくと写真下のパーツが完成します。 祥)そうですね。チタンは軽くて錆びなくて、アレルギーも少ないのでメガネの材料としてピッタリなんですが、硬いので加工は難しいですね。今まで通りのやり方で作ると、金型の方が壊れてしまうんです。

--チタンの仕事は多いんですか?
祥)約15年前からチタンを取り扱うようになって、今では仕事のほぼ100%がチタンやチタン合金を使った仕事ですね。

--お仕事をする中で一番気を張る瞬間はいつですか?
社)やはり金型に起こす瞬間ですね。図面と0.1mm違った金型を作ったら、そのまま量産されてしまいますからね。
祥)かといって、図面の通り作っても、数値だけではうまくいかないんです。そこは経験でカバーしていますね。
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チタンを活かした新製品!

-- 最近ではメガネ以外の分野でチタンの加工を活かされているんですよね。
img5.jpg服部 祥也氏 祥)はい。チタンの特性を活かして電子部品関係などからもお話をいただきます。最近では、吉岡ロゴテックさんとの共同制作で、「ピックリップ」という商品を作りました。

-- 「ピックリップ」とは?
祥)飲み物をかき混ぜるマドラーをチタンで製造したんです。チタンなので清潔ですし、傷もつきにくく、錆びにくいです。その上、バネ性を活かして、コップに挟めるように成形しました。こうすると、かき混ぜたあとのマドラーの置き場にも困らないし、飲むときにマドラーが動かないんですよ。
-- 本当ですね!これは便利!
img2.jpg一つの「ピックリップ」を作るまでに、これだけの曲げの工程を経ています! 祥)しかも、クリップの部分に好きなチャームをつけられるので、パーティーの時は自分のコップが分かりやすいんです。

-- なるほど。見た目もオシャレですよね。こちらもチタンの1枚板を曲げて作っているんですか?
祥)そうです。一つの「ピックリップ」を作るまでに多くの曲げの工程を踏んでいます。曲げの度に、金型を作ることで、何個作っても曲げの具合が同じという再現性が生まれるんです。

--お仕事をされる上でのこだわりはなんでしょうか?
社)「出来ない」と言わないということです。出来ると思えば、出来る習慣が身に付くんです。
祥)出来ないと思っても、即答しないで考えろと父から教わりました。

-- それではこれからの展望をお願いします!
祥)チタン加工のプロ「チタンクリエーター福井」は県内7社で構成されているんですが、その7社がどういう役割を担い、どのようにやっていくかという方向性を決めつつあります。私共はチタンのプレス加工のプロとして、ほかの6社と協力してチタン加工を様々な分野の業種に広げていきたいですね。

--本日はありがとうございました!

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服部 勲 Isao HATTORI
有限会社服部製作所 代表取締役
金型職人

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服部 祥也 Yoshiya HATTORI
有限会社服部製作所
金型職人 / チタンクリエーター

福井県福井市下河北町7-111
TEL 0776-38-9288
FAX 0776-38-1918