posted:2014.02.06
加工技術可能性は無限
今回のメガネザンマイは、鯖江でレーザーマーキング加工や印刷加工を行っている有限会社エルテックをご紹介します。レーザー加工はメガネのブランドや品番などを一目で判別するためになくてはならない技術。今やエルテックはメガネだけでなくさまざまな製品の加工を手がけています。日本全国から発注が後を絶たない理由とは?会社の強みや技術について代表取締役 高島輝行氏に話をうかがいました。
--まずは御社の業務内容について教えてください。
レーザーを使った微細な文字やロゴ、画像などのマーキング加工やそれに付随する印刷加工を行っています。メガネはもちろんですが、家電や雑貨、化粧品など、ありとあらゆるものへの加工が可能です。
--ありとあらゆるものと言いますと?
はい、平面はもちろん、曲面や3Dの加工も可能ですし、材質もステンレスや鉄、チタン、石、ガラスなど…水以外ならどんなものでも扱えますね。
高島 輝行氏--水以外すべてのもの!それはすごいですね。では、レーザー加工を始めたきっかけは何だったのですか?
もともとメガネの仕事をするためにレーザー加工を始めたわけではないんです。レーザーが生まれる前はプレス加工やシルク印刷でマーキングするのが主流だったのですが、それだと時間が経つとどうしても文字が消えてしまう。そこでレーザーで加工しようという流れになりました。初めは時計や携帯電話などへのレーザー加工を行っていましたが、この技術はメガネにも使えるんじゃないかと思い、メガネも手がけることになったんです。
--メガネにはどのような部分にレーザー加工が施されているのですか?
メガネのテンプル部分に刻まれている品番やブランド名など、細かな加工を行っています。ブランド名や品番が主ですね。メガネの場合だとブランド名が消えてしまうと価値が半減してしまいます。そのため、時間が経っても消えないようにレーザーで素材を削って加工しています。
--なるほど。このような部分ですね。実際、メガネに関してはどれくらいのシェアがあるのですか?
当社がメガネを扱うようになってから15年ほどになります。最初の取引は鯖江にある2社の企業だけだったのですが、おかげさまで当社の評判が広まり、日本全国のメガネを扱うようになりました。メガネの型によってコード番号が異なるのですが、今では400以上のコード番号を扱っていますね。
--御社はレーザー以外にもさまざまな加工を行っているようですが…?
例えばレーザーだと文字を彫ることはできても、その部分に色がつくわけではないんです。ある時、お客様から「マーキングと印刷を一緒にやってほしい」というご要望をいただき、それじゃあシルクスクリーン印刷やパッド印刷もやってみようかなと機械を導入しました。
--御社はレーザーや印刷機だけでなくたくさんの機械が揃っていますよね!中でも特徴的な機械はありますか?
いろいろあるんですが…(笑)当社のウォータージェット切断装置は通常のレーザーやマシニングセンタでは切断できないものでも切ることができますね。
チタンやステンレスといった素材であっても、微細でなめらかな切断が可能です。--例えばどんなものですか?
チタンなら100mmくらいのものなら切ることができます。レーザーではこの厚みには対応できません。
--水の力でそんなことができるんですか!すごいです!やはり機械を導入する時は将来のことを見越しているのでしょうか?
いえ、そんなことはありませんね(笑)機械を導入する時はいつも「こんなのできたら楽しそう」という思いだけです。じゃあ、この機械でどんなお仕事をするの?ということは実はあんまり考えません。しかし、「エルテックさんにはこんな機械があるらしいよ」と、いつの間にかお客様の間で評判になり、機械メーカーが視察に来たり、今までお取引のなかった業界から依頼を受けたりするというパターンが多いんです。ですので、20年くらいこの仕事をやっているのですが、当社には営業が一人もいません。
車のメーター部分や遊戯台の部品など、あらゆる部品の加工に携わっています。--営業はゼロですか!?それも驚きです。では、御社の強みは何でしょうか?
機械の導入に力を入れてきたこともあり、今ではメガネだけではなく家電やパチンコ、車の部品など、さまざまな業界の製品を手がけるようになりました。たとえ初めて扱う製品であっても、これまでのノウハウを使って、最も適切な工程を提案できるというのは当社の強みかもしれません。技術を掛け合わせることで仕事の幅は無限大に広がっていく手応えはありますね。
--最後に、メガネ業界が盛り上がっていくためには何が必要だと思われますか?
メガネ以外の業界も手がけているからこそ実感するのですが、メガネ業界はまだまだ精度を高めることができると思うんです。例えば、家電の場合、メガネ以上に細かい工程がいくつもありますが、各工程が微調整程度の誤差でライン化されています。メガネでこの精度が実現できると、大きな強みとなるはず。特に鯖江でメガネに携わる方たちは皆誇りを持って仕事をされているので、ますます盛り上がっていくのではないかと思います。
--ありがとうございました。では、ここからは工場に場所を移し、実際に加工を行っている様子を見学しながらご説明いただきたいと思います!
———————————————————————
エルテックは本社と第二工場、そして印刷部門(株式会社ケイテック)の3つの拠点で構成されています。
メガネは主に本社で加工。一つひとつの加工は機械が行いますが、スタッフが入念に仕上がりをチェックしている姿が印象的でした。
|
|
|
|
|
|
有限会社エルテック
福井県鯖江市小泉町28-1-5
TEL. 0778-62-4550
Web. https://www.ltecinc.jp