鯖江市に本社を構える有限会社グランは、2007年に自社ブランド「Face fonts.」を立ち上げたデザイン企画の会社です。すでに国内外の多くのファンを獲得している「Face fonts.」の魅力やこだわりについて、代表取締役の奥澤優志氏(以下:社)とデザイナーの高橋仁一氏(以下:高)に迫ります。
10年経っても色あせないデザインを。
奥澤 優志氏
-- 御社ではメガネのデザインを手がけていらっしゃるそうですね。
社)はい。もともとプロダクト全般のデザインと、メガネのデザインを並行して行っていました。2007年に自社オリジナルブランド「Face fonts.」を立ち上げ、併せて有限会社グランをスタートしました。
-- 「Face fonts.」は直訳すると「顔文字」ですが、どういうコンセプトなんでしょうか?
高)顔文字って、文字で顔を作っているじゃないですか。その記号の組み合わせで感情を表現できたり、フォントの種類によって雰囲気が変わったり。そういう感性に訴えるところが文字とメガネは似ているなと思って。メガネを掛けることで表情の雰囲気が変わるようなメガネ作りを目指しています。2007年に海外の展示会でデビューしたのもあって、全体として「和」をテーマにしています。デザインだけでなく、日本のものづくりも含めて勝負したいと思っています。
-- なるほど。そういったお気持ちを小売店の方々に伝えるのって難しくありませんか?
高橋 仁一氏
社)そんなことありませんよ。私たちが語るコンセプトが直接そのままセールストークになるから、小売店の皆さんもメガネが出来るまでのストーリーを聞きたがっていますし、話すと喜んでくださいますよ。
-- 小売店さんの反応はいかがですか?
社)うちの商品をリピートして置いてくださる小売店さんはとても多いです。ありがたい事ですし、とても喜んでいます。小売店さん経由でお客様の声も聞けるのはとても貴重ですね。
-- お客様の声はどういうものが多いですか?
高)女性の方からの評価が高いですね。ユニセックスのブランドなので、女性からの声を反映して、カラーリングも自然と女性らしいものになってきています。年齢層は幅広く、中には、おばあちゃん、お母さん、娘さんと三世代で愛用してくださっているお客様もいらっしゃいます。今はお子様用の要望もありますね。
-- 現在ブランドは「Face fonts.」のみですが、他のブランドを立ち上げる予定はありますか?
高)考えていませんね。「Face fonts.」は一つのテーマで、そのなかにシリーズが3つあります(「Face Fonts.( '-' )*」「FACE fONts.STRUCTURE」「Face Fonts/Classico.」)。流行によって色々な型を作って、古い型を廃盤にするのではなく、長いスパンで掛けてもらえるデザインのメガネを作りたいと思っています。





-- 「Face fonts.」のこだわりを教えてください!
高)「Face Fonts.( '-' )*」は複雑なカラーリングがこだわりですね。100シリーズのフレームは、ステンレスと樹脂とチタンの3層構造になっていて、そのカラーの混ざり具合で色の見え方が複雑になります。200シリーズは、フレームの樹脂が取り外せます。付け替える事でベースの金属との色の響き合いで、全く違った色見になります。
社)カラーも和の色を意識してこだわっています。
-- 一言で何色!とは言えないような複雑な色がキレイですね。でも派手ではなく、肌になじむような優しい色ですね。カラーリング以外はどうですか?
高)「FACE fONts.STRUCTURE」は昔に掛けられていた眼鏡の形を再現しています。しかし、モダンの部分のシリコンは、外側は固めのものを、内側は肌になじみやすい柔らかめのものを使い掛け心地を良くしています。
「Face Fonts/Classico.」は昔ながらの作り方にこだわっています。一見シンプルな普通のセルフレームのメガネですが、掛け心地を考えてテンプルの部分を極限まで薄くしています。これがメーカー泣かせなんですよ(笑)。
-- きれいなだけでなくて、掛け心地がとても良くて驚きました。それに軽い!
高)この「意外と掛け心地がいい」というのがポイントです。掛け心地を追求したり、機能を前面に出すと、いかにも「掛け心地もデザインもがんばりました!」みたいな見た目になっちゃうんですよね。それが嫌で、やっぱりまずデザインがカッコいい事、それから掛けてみると意外といい。っていうこだわりがあります。
社)単に軽いということではなく、掛けて軽いというバランスが大切ですね。
メガネのことを知りすぎていない。
-- 御社では何名くらいのスタッフが働いているんですか?
社)全員で8名です。少ない人数ですが、その中で貿易担当や生産管理、デザイナーなどそれぞれに出来る事が違います。若いスタッフもたくさんいますよ。中には製図を描けるスタッフも居るので、うちはデザインを製図におこしてから、製造をメーカーに依頼します。だから、製造工程の中で何が出来て何が出来ないかを物理的に理解した上で、考えの食い違いがなくお仕事を依頼できるんです。これは他のデザイン会社に比べると珍しいところだし、強みだと思います。
高)私たち2人も以前はメーカーでデザイン企画をしていました。そのおかげで製造の事については知識があるので、その点では依頼もしやすいです。でも、うちのメガネは細かい手間が割と多いので、結局毎回メーカーさんを泣かせてますけどね(笑)。
-- お二人がメガネ業界に入られたきっかけは?
高)私はなんとなくです。まさか自分がメガネのデザインをするなんて考えてもいませんでした。最初は興味がなかったけど、今はメガネの事ばかり考えてますね。
社)大学でデザインの勉強をしていて、地元でデザインの仕事って言ったらやっぱりメガネかな、っていう感じでこの業界に飛び込みました。私たち2人は嶺南の生まれで、うちのスタッフにも鯖江出身者って実はいないんですよ。だからある意味、メガネの事を知りすぎていないというか、しがらみが無いから、自由にメガネ作りをさせてもらえるっていう所はありますね。
-- 素材にセルだけではなくナイロンを使ったりというところも、今までのやり方に縛られない自由な雰囲気が表れているのかもしれないですね。
「face fonts.」というユニークなブランド名は、「考えて考えて考えて…ポッと出てきたもの。」だそうです。
高)ナイロン樹脂は、安っぽく見えることがあり敬遠されがちなんですが、使い方によってはメガネにとっていい素材なんですよね。薄くしても変形しにくいから、メガネを薄く、軽くできるんです。
-- デザインの企画には社長さんが加わる事もあるんですか?
社)みんなでアイデアを出し合い話し合いはしますけど、最終的な決定権はデザイナーの高橋に委ねています。大勢でやるより、一人のディレクターに最終的に一任した方がコンセプトやデザインを一貫できますからね。
-- 最後に「Face fonts.」の今後の展望をお聞かせください。
メガネケースもキュートでお洒落!
高)もっと世界中の人に掛けて欲しいし、これからも掛けやすくていい物を作っていきたいです。現在「FACE fONts.STRUCTURE」の新しいデザインを考えています。今までとは全く違う物になりそうなので楽しみにしていてください。
社)私たちはまだまだこれからです。「鯖江の商品は違うな」と思っていただける一翼を担えればいいなと思いますね。


