鯖江メガネファクトリー

オプトデュオ

今回は、産地統一ブランド「THE291」について。 去年の11月に東京の南青山に(社)福井県眼鏡協会東京ショールーム「GLASS GALLERY 291」がグランドオープンを果たしました。福井の眼鏡、鯖江の眼鏡を世界に発信していくためのプロジェクトはどこに向かっているのか。THE291の立ち上げから、過去―現在―未来の福井の眼鏡、そして世界の鯖江の眼鏡の発展について、福井県眼鏡協会の坂野喜一氏に語っていただきました。

YELLOWS PLUS

 

「産地」というブランド

坂野喜一 氏

--THE291を立ち上げたきっかけは…。

平成12年に東京にスリープライスショップが出現したんです。それは、どんなお店なのかというと、中国製品を5,000円、7,000円、9,000円というスリープライスの低価格で販売するものだったんです。そうすると、若年層が飛びついて、2〜3万する福井産の眼鏡の受注が減ってきたんですね。 しかし、このままでいいのかと考えるようになったんですね。受注が減ってきたから、どんな眼鏡が売れるのか、福井の眼鏡の強みは何なのか、流行のデザインは何か。つまり、マーケティングですね。リサーチをするようになり、そして、作って出来た眼鏡はどこで売るのか、販路についても考えるようになったんですね。じゃあ、みんなでやろう、組合でやろうということになり、産地の統一ブランドに取組むことになったんです。そして、参加する人は、みんなでマーケティング、ブランディング、デザインをやろうということに至ったんです。

--続けるなかで、大変な苦労をされたんでしょうね。

そりゃあ、苦労しましたよ。販売の中での苦労は当たり前です。やはり僕が一番の問題としていることは、この産地でいかに意思統一を図って、そのもとで事業を進めていくか。これは今でも問題です。調子よく競争しているときは、勝者とか敗者とかではなく競争、共存してきた。しかし、連帯意識が薄れてきてしまった。眼鏡の歴史的な方向転換も手遅れであった。価格競争に苦戦しながらも、組合の意識統一をしていくことが重要であると思いますね。

--THE291の強みやこだわりについて、お聞かせください。

ショールームには、最高品質のメガネが並ぶ。

当然、商品については世界最高峰という品質ですね。デザインもそうそうないものだと確信しているし、価格もそこそこ、品質も間違いない。そんなブランドを目指しています。アルマーニといったところの一流ブランド力があるわけではない。それが正直なところです。消費者は、アルマーニだからいいものだ!という思い込みが出来ている。我々のブランドはそこまで至っていない。しかし、いつの日か、この「THE291」が、アルマーニのようなまでのブランド力になるように、時間をかけて、消費者に浸透させていきたい。やっぱり、ブランディングは長い時間が掛かりますからね。

--その一貫として、東京ショールームの誕生になるのですか?

そこにつながってきていますよね。どちらかというと「品質」にこだわってきて、「価格」が見合っていなかったんですよ。それでは売れないんですよね。基本的には、消費者が求めるような価格で、品質の良いものを提供していかなければいけないんですよね。

サバエメガネの“これから”

--去年の11月に誕生した「東京ショールーム」の反響はどうですか?

ここ2、3年「食」の安全性について騒がれていますよね。だから、お客様が買われるときに、やはり価格だけでなく、産地、品質に注目してきていますよね。本物志向になってきています。同じものでも価格が違う理由を明示した上で、お客様に納得して選んでいただきたい。だから我々は、100年以上の歴史のある鯖江の眼鏡の良さを示して、提供していきたいですね。

--しかし、一方で消費者の安物志向は否めないですよね。この時代の流れについてはどう考えておられますか?

よくいわれるのが、経済のグローバル化。やはり、良いものを安く売りたいですよね。だから、コスト削減で安くしたいんですよ。人件費であれば、中国のほうが安い。しかし、我々は「産地」を大切にしたい。ここで働く人、ここで生まれる技術で、商品を提供していきたい。同じ価格で、中国製と日本製があったら、日本製を買うよね。やはり、地域を守りたい、そんな使命があると思っているんです。

--いずれ中国も日本と同じ状態になると思われますか?

技術もあがる、製造コストもあがる、給料も上がる、ということは価格もあがってくると思いますよね。 それは何年後か、分かりませんがね。

--だから、そんなときに「産地」を大切にしていることは優位だということですか?

産地をバックに安全、安心。だから眼鏡が壊れても、産地がバックにあれば修理などにも対応できるわけです。

--なるほど。

--THE291を名乗るには、審査があるんですよね?

もちろんあります。ブランドを守るための、基準がありますね。やはり品質が重要ですから。

--具体的に項目はどれくれいあるのですか?

そんなにたくさんある訳ではないです。だいたい7-8項目ですかね。 耐久性とか、耐圧性、とかですね。また金属アレルギーにも対応できなければならないですし。

--では、今後の眼鏡業界は、どのようになると思われますか?

流通ルートが変わってくるということはありますよね。眼鏡にかぎっていえば、誰も自分と同じ眼鏡をかけている人をみたことないでしょ。人と違うものを求める時代ですから。多品種少量になってきますね。ということは、製造コストがかかってきてしまう。従来の卸しから販売までのコストをどこかで抑えなければならない。そこで流通が変わってくると思います。雑誌、インターネットなど、色々なものを駆使しなければいけないですよね。

--今後のTHE291についてはどうでしょうか?

福井の「鯖江という産地」にこだわって、うちにしかないものを作っていきたいですよね。欧米のブランドの注文によるものではなく、自分で付加価値の高いおもしろい商品を生み出していきたいですね。

--それでは最後の質問です。 あなたにとって眼鏡とは?

極端にいうと、生きていくうえで絶対必要なものです。自分を変えるものでもあるし、私生活についても、なくてはならないものです。

--ありがとうございました。

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  • 坂野 喜一 Kiichi SAKANO 
  • (社)福井県眼鏡協会 専務理事
  • 坂野専務のブログ
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  • THE291 福井ショールーム
  • 福井県鯖江市新横江2丁目3−4 めがね会館内
  • TEL 0778-52-9111
  • FAX 0778-52-9110
  • http://www.the291.com/
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