posted:2016.04.06
鯖江に、海外向けのサングラスのOEM製造・貿易を手がけながら、偏光ガラスレンズの製造をも行う珍しいメーカーがあります。それが、株式会社シューユウ。
シューユウはこのたび、ハウスブランドDEECと1banをリリースします。「日本にも、堂々とサングラスを作るメーカーがあることを知ってほしい。」シューユウの酒井さんはそう言います。DEECと1banが生まれた、その裏側に迫りました。
株式会社シューユウ / 酒井勇一氏-まずは、御社の事業内容を教えていただけますか。
OEMの海外貿易が主要事業です。我々はフレームを、別会社のサンカラーがレンズと表面処理を担っています。また、長年サングラスも取り扱っています。サングラスがおもしろいのは、定番商品になると20年、30年ずっと売れるところ。また、リピート率も高いので、生産性が良くなるんです。海外では、国内もヨーロッパも、中国も競争相手になる。そんな中で、我々がなぜ選ばれてきたかというと、コストパフォーマンスおよび品質、納期。そういった競争を通じて、強みを伸ばしてきたという経緯があります。
ー海外とのやりとりを通じて御社の立ち位置を確立されてきたのですね。フレームも、レンズも製造している会社というのは、鯖江でも珍しいですよね。
そうですね。鯖江には多くのメーカーがありますが、枠を作るメーカーは、枠についてはみなさんプロフェッショナルです。ただ、レンズのことはわからない。一方、レンズを作るメーカーは、レンズに関してはプロフェッショナルですが、枠のことはわからない。しかし、我々は完成品を海外へ、という中で各国の厳しい規格基準をクリアしないといけないんです。枠は枠、レンズはレンズで規格がありますが、さらに完成品の場合、サングラスという形で、別物のテストを受けないといけないんですよ。そのような中でスペックを追求してきたので、品質には自信がありますね。
ー御社は、どのような経緯でハウスブランドを始められたんですか?
以前、15年前くらいに、実はアメリカで自社ブランドを立ち上げているんです。当時、サングラスのフレームは合金しかなかったので、偏光の純チタンのサングラスを安価で出してやろうと。ただ、当時は力もなく、断念せざるをえなかったんです。でも昔から、OEMは明日も仕事があるという保証はない。せっかく我々で地場でサングラスを作れているのだから、日本国内でも売っていきたいなと。また、サングラスをより身近に感じてもらいたいとも思っているんです。もともとはサングラスって目のケアのために使うもの。その用途でみなさん、かけてますか?と言いたい。オーストラリアでは、通学の行き帰り、サングラスをかけるのは義務なんです。日本でもだんだん紫外線はきつくなってきている。みなさん、日焼け止めを塗ってUVカットはしているが、目はノーマークなんですよね。そういうことって、一般消費者はあまり認知していない。日本でも徐々に、サングラスってあまりよいイメージがなかったのが、サングラスはおしゃれだという認知が広まり始めていますよね。そこで、せっかくいいものを作っているんだから、それを日本人にも味わってもらいたいと生まれたのが、このDEECと1Banです。
ーなるほど!日本発のよいものを、日本のみなさんに使ってもらいたいという思いがあるのですね。では、具体的にそれぞれのブランドについて伺っていきたいと思います。まず、DEECが生まれた経緯を教えていただけますか。
DEECはガラスレンズのサングラスです。ガラスのレンズは、割れる、重いといったデメリットもあるんです。そうなると、激しいスポーツには使えないんですよね。だから、ガラスの偏光レンズで一番需要があるのは釣りなんです。でも、釣り業界ではすでにそれぞれのブランドが定着している。そこで、ポジショニングを考え、ドライビングサングラスとして売り出すことを決めたんです。DEECは、普通の偏光サングラスよりもレンズの色を明るくしてあります。車を運転するのであれば、通常のサングラスでは、暗くなってくると怖いということもありますが、DEECでは、高速道路くらいであれば、ほとんどかけたり外したりする必要がないんです。DEECはガラスレンズなので、透明度が全然違うんですね。また、はさみでも傷がつかないんです。多少荒いことをしても、ガラス以上の硬度のものでないと傷はつきません。
ーガラスとプラスチックで、性質は全然違ってくるんですね。ガラスとプラスチックの違いを教えていただけますか?
プラスチックとガラスの違いは、劣化するかどうかが一番大きいですよ。どんどんプラスチックは劣化して、賞味期限が切れてしまうんです。ガラスは透明度をずっと維持します。また、ガラスレンズの場合は透明度がプラスチックより高い。なので、カメラのレンズにしろ、双眼鏡にしろ、っていうのは重い、割れるというデメリットをありながら、確固たる地位を確立していますよね。
ーなるほど。DEECは透明度でも優れているということですね。では、1banは、どのようなブランドになりますか?
DEECはドライビングに特化しています。一方、1banはとにかく軽いんですよ。かけていることを忘れさせてくれるような軽さがあります。ですから、ずっとかけていることが必要という場合は、ぜひ1banを選んでいただけたらと思います。1banの特徴は、なんといってもレンズにあります。1banのレンズは、ガラスとプラスチックの、世界初のハイブリッドレンズなんですよ。ガラスとプラスチックをいいところを合わせもつ、画期的なレンズです。いま、1banについては、その軽さが評判になり、いろんなところが興味を持ってテストをしてくれています。例えば、自衛隊のヘリのコーチをしている人に気に入ってもらって、では自衛隊にアンケートをとってみましょうだったり、オートバイのメーカーさんに声をかけていただいたりなどといった動きがありますよ。
ーそうなんですね!DEECも1banも、ガラスレンズを利用されているということですが、ガラスならではの難しさといったことはあるんでしょうか?
実は、プラスチックと違ってガラスは、フレーム入れたときに歪んでいると欠けたり割れたりしてしまうんです。きちんと歪みを逃がして加工をしなければいけない。その歪が入らないように加工するのは、とても難しいんです。みなさんのレンズはプラスチックですから、歪みがあると思いますよ。見てみますか。
歪みがある部分が、白く光っているのがわかりますね。
市販のものDEEC/1Ban製品
ーこんなに歪んでいるんですね!全く気付いていませんでした。一方で、1banやDEECには全く歪みがない。驚きました。
みなさん、レンズの歪みを全く気付かずにかけてしまっているんですね。こうした事実は、実はレンズメーカーにも、枠メーカーにも浸透していないんです。1banやDEECでは歪みはありません。なぜなら、歪んでいれば割れてしまうからです。歪みの技術はサングラスを扱う我々だから知っているし、扱える技術なんですよ。
ー今後、DEECや1banはどのように展開していくのでしょうか。
これらの商品は本当に世の中にない、軽いし、ほんとにいいものなんです。でも、説明すればわかってもらえるものでも、店舗に陳列される中でどう売っていくか。隣に有名ブランドがあれば、そっちを手にとってしまう、それが悲しいんです。中身は全然違っても、ガラスはガラスでしょ?と言われてしまう。だからなにより、使ってもらってよさを見出してもらう必要があると思っています。認知されて、「ここは違うぞ!」と思ってくれたら、お客さんはリピーターになってくれる。人間も、一人一人見え方は違うし、それぞれ癖があります。ですから、かけてみてもらって、一番いい、目に優しい、つまり自分がかけていて楽なものを選んでほしいと思っています。それが我々のDEECであったり、1banであったら嬉しいなと。きちんとしたものをきちんとした形で提案して、堂々と、日本にもこういうメーカーがあるんだよという認知を育てていきたいですね。
ー今後の展望を教えてください。
オンリーワン、うちにしかできないことをやっていきたいですね。
メーカーっていうことで、ひとくくりにされてしまうことも多々あるんですよ。でも、うちは違うよということを世の中に発信していきながら、イメージを向上していければなと思いますね。
商品ラインナップ
DEEC
/MENS
DEEC adelaid/48,600円(税込)
DEEC estrail(brown)/48,600円(税込)
DEEC long-beach/DEEC estrail(brown)/48,600円(税込)
/LADIES
DEEC nivel (rose)DEEC estrail(brown)/48,600円(税込)
DEEC Pescara (rose)DEEC estrail(brown)/48,600円(税込)
DEEC charade (brown)DEEC estrail(brown)/48,600円(税込)
1Ban
136"03/44,280円(税込)
136"0444,280円(税込)
136"04/44,280円(税込)
※詳細は発表をお待ち下さい。
DEEC / 1Ban
DEEC/Web:http://deec.jp/
株式会社シューユウ
〒916-0036 福井県鯖江市横越町16-26-1
TEL:0778-52-6868
電話受付可能時間:平日 9:00~18:00
shuyu-/Web:http://shuyu-g.co.jp/