鯖江メガネファクトリー

ROOTS
メガネザンマイ#12

鯖江には、思いもよらない素材で作られたメガネがあります。『竹めがね』(H19.6.8特許取得)。メガネは、メタルフレームとセルフレームだけではないのです。(有)鯖江工芸では竹をはじめ様々な自然素材を用いて、メガネの製造をしています。今回はその(有)鯖江工芸の販売総代理店である「Roots」の代表取締役・佐々木誠氏にお話を伺いました。

竹がメガネになるなんて

佐々木氏

-- このお店を始められた経緯を教えてください。

 以前は、異業種の仕事をしていました。鯖江工芸の笠島社長が私の叔父に当たりまして、ある時「手伝ってくれないか」と誘われ、しばらくお手伝いをさせてもらってたんです。私の両親はメガネ関係の仕事に携わっていたんですが、業界の厳しさを知っている両親は、私が眼鏡業界に入る事に反対でした。そういった事もあって、もともとメガネの製造には良いイメージを持っておらず、メガネ業界に入るつもりはなかったんです。それで、たまたま鯖江工芸でお手伝いをしてみて、はじめて、ものづくりをしている人達は本当に凄いなあと思ったんです。職人は一見すると簡単に作っているように見えますが、いざ自分がやってみるとなかなか思うようにならないんですね。
 今度はそういう凄い技術を持った職人さんがいるんだということをお客さんに伝えたいと思い、鯖江工芸の販売総代理店として、この鯖江でお店を始めたんです。お店のオープンは2007年2月でした。


竹めがね

-- 「竹めがねの竹」は普通の竹とは違うのですか?

 素材の竹は、普通の丸い形ではなく、四角く立方体のような形でできています。それは、京都の竹職人の手によって、加工し易いようにそのような形に人工的に一本一本作られています。それでも竹は自然素材なので、割れが入っていたり凹んでいたり、虫が入っていたりするため、一本の竹からフレームが10枚作れると良い方ですね。


--どれくらいのペースで作っているのですか?

 そうですね、だいたい3〜4日で1枚のフレームが完成します。また、一本の竹や木の中でも選ぶ場所によって色や模様が違いますから、どの模様を入れるかを選ぶのも大変です。メガネにするのに一番良い部分を選びますから、やっぱりロスが多い素材ですね。マグロで言うと大トロしか使っていないということですね(笑)。だから作るのは大変なんですが、魅力的なメガネになるんです。


竹製鼻パッド

竹製の鼻パッド。既存のメガネに取り付けられる。様々な形や柄がある。

-- 竹めがねの魅力はどういったところにあるのですか?

 一つ挙げるとすれば、掛けているうちに色が変わって、良い飴色になることですね。掛ければ掛けるほど風合いが変わって味が出てきます。また、鼻パットも竹でできているのですが、竹は体積の半分の水分を吸収し、吐き出す特性があるため、いわゆる“メガネがズレ落ちる”原因の一つである鼻の脂を吸収してくれるので、眼鏡がとてもズレ落ちにくいことです。


-- 竹めがね以外はどういった商品があるのですか?

銘木めがね

竹製フレーム以外にも、銘木製のフレームも扱っている。

 木製のメガネも取扱ってます。これらメガネの素材は「銘木」と呼ばれるもので、主に海外で育成されている木を厳選してフレームに使ってます。例えば、スネークウッドといって、蛇のうろこのような模様が出る木があって、木の宝石と呼ばれている素材です。年に数本しか出回らない大変希少で非常に入手困難な木のメガネも作ってます。その他にも、竹と銘木の組み合わせや竹とセルロイド・バッファローホーンを組み合わせた商品もあります。さらには、現在ご使用のメガネのテンプルを竹や木に交換するいわゆる“メガネのリフォーム”も行っております。


竹めがね

佐々木氏の私物(写真上)と同商品の新品(写真下)。使っているうちに飴色に変化する(写真上)。

-- 竹めがねのフィッティングはどうやってやるんですか?

 フィッティングは基本的にできません。竹の内側はやわらかいため、こういう自然素材は自分の体温の熱などで、逆に掛けているうちに顔にフィットしてくるのでフィッティングは必要ないんですよ。この掛け心地は掛けてみないと分かりませんから、ネットや雑誌で見るだけでなく是非お店に来て体感してみて欲しいですね。リピーターの方は多いですね。一度使って頂けると、竹めがねの良さがお分かり頂けると思います。


-- 県外から買いに来られるお客さんもいるのですか?

9割は県外からのお客様です。遠い所では沖縄・九州方面から来られたお客様もいらっしゃいました。観光がてらに立ち寄られるお客様も多いですね。

-- やっぱりこれだけ天然素材ばかりが揃っているお店もありませんもんね。

全てがオリジナル商品で天然素材で作った物ですから、お客さんは購入せずに見るだけでも喜んで帰って頂けるんで嬉しいですね。

竹製のフィギュア

竹製のフィギュア。細部まで再現されており、技術の高さが伺える。

-- これからの展望は?

 もちろん「竹めがね」や「銘木めがね」を広めていきたいと思うんですが、今のメガネが完成形ではないので、現状に満足せず新しい物を作る挑戦をしていきたいですね。色々な物を作っていって、そこから良い物を伸ばしていく事が大切だと思ってます。

-- あなたにとってメガネとは?

 「職人からの挑戦状」ですかね(笑)。デザインして作られて来た物をいかに世の中の人に受け入れてもらうようにするかということを私が背負っているんじゃないでしょうか。

prf
  • 佐々木誠
  • ROOTS 代表取締役
  • 鯖江市出身
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  • ROOTS
  • 福井県鯖江市本町2丁目2-20
  • TEL. 0778-51-1661
  • FAX 0778-51-1671
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