今回のメガネザンマイは、東京・南青山に店舗を構える、福井県眼鏡協会東京ショールーム「GLASS GALLERY 291」にお邪魔した様子をお伝えします。以前、2008年11月にグランドオープンした模様を取材させて頂いてから早2年が経ち、東京での鯖江メガネの認知はどれくらい広がったのでしょうか?今後の展望も含めて、店長・末田広志氏にお話を伺いました!
オープンから早2年…
-- オープンから早2年が経ちましたが、2年間は長かったですか?
短かったですね。あっという間でした。
-- 2年間お店としてはどのようなことを行ってこられましたか?
メガネ=鯖江というのを対外的にアピールするために、産地としての「春夏」「秋冬」の新作展示会を小売店の為の小売店というコンセプトを基に開催しています。またお客様に向けてのイベントとして、10月10日のメガネの日に併せて無料修理や,新作商品先行受注フェアを行ったり、10月1日のめがね供養祭に関連してメガネのリサイクル事業(店頭や郵送で不要になったメガネを集め、貧しい国のメガネを必要とする人々に寄付をする事業。協力してくださったお客様にはお礼状やクーポン、カタログをプレゼント。)も行っています。メガネ手づくり教室やフルオーダーメイドも承っています。またこれから、マンスリーセレクトフェアを開催していきます。これは毎月3、4社限定で最新メガネフレームを通常展示数よりもさらにボリュームアップして多数集中展示し、産地の眼鏡技術、デザインを体感して頂けるフェアです。その他さまざまなイベントを行っていますのでホームページでチェックして欲しいですね。
--これらのイベントに対する お客様の反応はいかがですか?
「普通のメガネ屋さんとは違うね」という反応をしてくださいますね。産地だからこそ出来る珍しいイベントですから、これは強みですね。また、マスコミの方も多く取材に来てくださり、良いプロモーション活動にもなっています。
-- プロモーション活動には力を入れているようですね。
GG291をまず知って頂くためにはプロモーションは不可欠ですね。新商品が出た時やイベントがある時は必ずプレスリリースを行っています。GG291を知って頂いたあとも、その後のお客様一人ひとりとの繋がりを大切にしているので、お店からの情報発信には力を入れています。
日本のメガネの壁。
-- では鯖江のメガネも周知されてきているのでしょうか?
そうだといいのですが、東京には様々なコンセプトを掲げたメガネ屋さんがありますから、まだまだだと思います。鯖江産と言うことだけでなく、日本のメガネはここが素晴らしい、というアイデンティティを確立していくことが今後の課題ですね。
-- と言いますと?
東京には世界中のメガネがたくさん集まってきますよね。今、ヨーロッパや中国産OEMのメガネ枠が市場に多く投下されています。メガネを売るには、マーケティング力・デザイン力・技術力が大切なのですが、日本には技術力はあるけれど、マーケティング力・デザイン力に課題が残っていると思います。良いものさえ作れば売れる時代ではありません。特にデザイン力の弱さは実感します。やはりお客様が最初に手に取るのは、「かっこいい」「きれい」「かわいい」など見た目ですから。その点、ヨーロッパのデザインはカタチも色も目を引くものが多いですね。
-- そうなんですね。
かといって、もはや日本の技術力がずば抜けているというわけではないんですね。今や、中国やヨーロッパも日本に追いつくかのように、高品質のものを量産することが可能になってきています。デザインを考えるということはつまり、どのようなものが求められているのかというマーケティングを考えることにも繋がるので、ここを疎かにしては売れる商品は作れません。今後日本が力を入れていかなければいけないところだと思います。
-- では日本のメガネの良さはどういうところにありますか?
やはり、使いやすさですね。たとえばメガネが重く感じるというのは、メガネそのものの重さもありますが、実はフィッティングでかなり解消されるんです。日本製のメガネはその調整がとてもしやすいように作られています。さらに長く使えば使うほど差が出ます。壊れにくい、歪みにくい等中長期的にみて製品価値があります。
鼻の型!?
-- 使いやすさをお客様に伝えるのは難しそうですね。なにか良いセールストークはありますか?
実際に掛けて頂いて実感して頂くのが一番ですね。弊店ではメガネを購入して頂いた際は、お客様の頭のサイズを測って、鼻の型を取って、そのサイズにぴったり合うようにメガネを調整しています。
-- 鼻の型を取るんですか!?そんなメガネ屋さん初めてです。
基本に立ち返れば、鼻のかたちは千差万別。最適な掛け心地を提供するには、必要なことなんです。洋服や靴をオーダーする時には採寸をしますから、メガネを選ぶ時もきちんと自分のサイズを知ることは大切だと思います。
-- そこまでしてくださると、次にメガネをかう時もこちらでリピートしたくなりますね。
オープン当時からリピートしてくださるお客様はたくさんいらっしゃいます。毎月の売り上げの約2割は、リピートのお客様ですね。そのお客様の口コミで新たに来てくださるお客様もいらっしゃいます。
NEXT GG291の展望とは。
-- 前回の取材と重複するかもしれないのですが、末田店長はなぜメガネ業界に?
私は福岡の出身なのですが、18歳で大学で経営学を学ぶために上京しました。卒業する時に、以前から興味のあったモノ作りの業種につきたいと考えてました。そこで出会ったのがメガネでした。夜間、眼鏡専門技術を学びながら、デザインとフレーム製作を行い、販売員として、トレンドフレームを販売しつつ、自分でデザインしたオリジナルフレームも販売していました。その後、異業種のIT業界に移り、そこでは情報管理、WEBやDTPデザイン、ディレクション業務を学びました。GG291の店長のお話をいただいたときは、今までの経験をすべて活かし、大好きなメガネの産地に貢献したいと思いお受けしました。
-- なるほど。是非、このGG291でも店長デザインのメガネを商品化して欲しいです!
それは私もやってみたいことの一つですね。
-- その他には、今後どのようなことをしていきたいですか?
目標は、鯖江のMEGANE MUSEUMとこのGG291を統括PRする為、鯖江のメガネを世界に発信していきたいですね。やはりこれからは海外に目を向けていかないと。香港や上海、シンガポールは今ビジネスのエネルギーが凄いですから、GG291が小売店の為の小売店として海外拠点を設けるにはいい場所だと思います。アジアの国々では日本製は信頼されていますから販路を拡大できる可能性はありますね。リスクもあるとは思いますが、そのエネルギーの中で揉まれてみたい、挑戦してみたい気持ちです。
-- 今日はありがとうございました!