株式会社プラスジャックは、セルフレームによるテンプルやメガネパーツを扱う会社です。そんな株式会社プラスジャックが今年、初の自社ブランド「+38A」(プラスサバエ)を立ち上げました。サバエメガネのこれからを担う、若き社長・津田功順氏(以下:社)とそのお父様であり会長でもある津田進氏(以下:会)に、「+38A」の誕生秘話を伺いました!
24時間掛けていられるセルメガネ。
-- この度、「+38A」という自社ブランドのメガネをお作りになったということですが?
社)はい。今年の夏頃から本格的に始動したブランドです。もともと会長である父がセルフレームメガネ職人だった事もあって、話を持ちかけました。現在、掛け心地を追求したセルフレームメガネの製造・販売を行っています。
-- どの部分に、掛け心地の良さが表れているんでしょうか?
社)もともとセルフレームメガネは、メタルフレームのメガネに比べて柔軟性が無いので、描けているうちに鼻やこめかみが痛くなりやすいメガネなんです。そこで弊社では、使う人の鼻の形に合わせて鼻パッドを調整できるような素材にしたり、また、テンプル部分のバネ性を従来以上に柔らかく、フィット感のあるものにしています。
-- 確かに、テンプルが今まで見た事が無いくらい曲がりますね!こんなに柔らかいプラスチック素材があるんですか?
社)素材は、アセテートという素材を使っているのですが、アセテートは元々柔らかい素材なんです。それをさらに柔軟性を持たせるために、極限までテンプルを薄くしています。
-- なるほど。薄いから、こんなに軽くて柔軟性が増すんですね。職人の技が光っている感じがします。
気がついたらメガネ業界にいたという会長(写真右)。しかし、「やるからには世界一。」と熱く語る姿には職人の貫禄が!
社)うちは、本来テンプルを専門に製造する会社なので、テンプルの加工は得意分野なんです。
-- それは強みですね。掛け心地をここまで追求されているセルフレームメガネって今まで無かったような気がします。
社)「+38A」のコンセプトの一つとして、24時間掛けていられるセルメガネを目指しているんです。今まではセルメガネをおしゃれ用や普段使いとは別のメガネとして購入されるお客様が多かったと思うんですが、これからは、お仕事でもプライベートでもずっと掛けていられるような使いやすいセルメガネを提案していきたいんです。
心機一転、新たな気持ちでデザインを。
-- その他にアピールポイントはありますか?
社)うちの強みのもう一つとして、セル板を数種類貼り合わせて、様々なバリエーションのセル板を作る事が出来ます。(写真参照)弊社ではオーダーメードも受け付けていますので、お客様の望む色やデザインを出来るだけ忠実に形にすることができます。
-- フレームに違う柄や色のワンポイントがあっておしゃれだなと思っていました。デザインは、社長がなさっているんですか?
社)いえ、私の父に一任しています。
会)あくまでもオーソドックスな形の中に、ワンポイントを入れたり新しいデザインを取り入れて、デザインでも掛けやすさを追求しています。
-- 凝っているけど、掛けやすい形でとてもおしゃれだと思います!デザインのヒントはどこからインスピレーションを受けるんですか?
会)雑誌やテレビや街中で、若い人のファッションを見てヒントを得ています。でも、同じものを作ろうとは思っていないので、ヒントからそれ以上のものを生み出そうと意識しています。
-- デザインは独学で学ばれたのですか?
会)プラスジャック株式会社を立ち上げる以前に、セルフレームメガネを製造していて、当時はデザインもしていました。それからずっとデザインから離れていたのですが、久しぶりにデザインをして気がついたのは、以前に比べてメガネに対する固定観念が無くなって、新鮮な気持ちでデザインが出来ていると思います。
メガネパーツ屋さん→自社ブランド設立。その経緯とは?
-- プラスジャック株式会社としては、初の自社ブランドということですが、社長からお話を持ちかけられたんですよね?
社)はい。でも、初めは賛同してくれる人は少なかったですね。今までずっと、メガネのテンプルを始めとしてパーツを受注生産してきた会社なので、いきなりメガネを売り出すというのは風当たりが強かったと思います。ただ、今の時代、注文を待っているだけでは近い将来仕事が無くなってしまうと思いました。これからは、自分から仕事をつかんでいかないと。そう思って、会長に「+38A」を持ちかけました。
-- なるほど。会長はそのお話を聞いたときは、どんなお気持ちでしたか?
会)最初は大変だから嫌だなって思いましたよ(笑)。でも、社長が決めたことだし、これからの未来にサバエブランドのメガネを残していきたいから、了解しました。
社)うちの社員にもメガネのいちパーツだけを作れる人ではなく、1から10までメガネを作れるようになって欲しかったんです。
-- ブランドを立ち上げてみて、難しさはどこにありますか?
社)やっぱり今まで小売店さんとの関わりが全く無かったから、販売ルートを作ることが今後の課題ですね。今は東京のglass gallery 291と今年オープンしたメガネミュージアムで販売しています。
-- では、今後の展望は何でしょうか?
社)もっとたくさんのバリエーションのメガネを作って、「+38A」を全国に広げていきたいですね。まずうちが成功して、それから鯖江の他のセルフレーム会社と一緒にメガネ業界を盛り上げていきたいです。
-- 本日はありがとうございました。