鯖江メガネファクトリー

sios
メガネザンマイ#13

sios(サイオス)は、塩路智大(以下 塩)さんと五味知江子(以下 五)さんの二人からなるメガネ創作ユニットです。デザインから製作までを二人だけでおこない、美しく質の高いメガネを世に送り出しています。今回はそのお二人にお話を伺い、siosのデザイン観や人生観について迫りたいと思います。

チャンスがあると思った

-- 塩路さんは愛媛県のご出身だそうですが、このメガネ業界に飛び込んだ経緯を教えてください。

塩)チャンスがあると思ったからです。(笑)

-- それは職人として成功できるということですか?

塩)いえ、○○になりたいということではなくて、自分が成長できるチャンスがあると思ったからです。これから僕が歳をとっていくにつれて、夢を膨らませていけるんじゃないかなと思って。
僕は、デザイナーじゃないとやりたくないとか、職人じゃないとイヤだという事からスタートしたのではなくて、偶然の力なんです。人からやってみないかとか、自分からやってみようかという感じです。当然その偶然の中には、やらざるを得なかったということも含まれます。僕らにはこっち(鯖江)にツテも無かったし、知り合いや仲間もいなかった。その中でどうやっていけば、自分達の夢を具体的に積み上げていけるかということを考えながらやってきたんです。
だから最初からこれを狙ってやってきたという訳ではないし、それは今からもそう。ここに行こうというのではなく、色々な人と出会う中で偶然性と必然性のバランスを上手く取りながらやっていくつもりです。

師匠に対する想い

-- 鯖江に来た当初、鯖江の職人さんに弟子入りしたそうですが。

塩)そうです。河和田の内田守幸さんという方です。Opt duoの山岸社長に紹介してもらいました。

-- 修業時代はつらかったですか?

塩)う〜ん、今となっては、二度としたくない(笑)。
辛いとか辛くないとかは別として、修行はもうしたくないですね。
でもそれが良い経験になったし、その修行期間が無かったら今の自分はありえない。今、考えてみると、そんな苦労は大した事無かったのかなとも思うし、独立してから今までそれなりに苦労もあったし、これかも、もっと苦労するだろうし。でも良い師匠であったことは間違いないです。苦労したかどうかという事よりも感謝の気持ちが強いですね。本当に良い環境で勉強をさせてもらいました。

-- 修行時代から漠然と独立しようという想いがありましたか?

塩)そうですね。でも、師匠の仕事を継げと言われていたら継いでいたかもしれません。

素人と呼ばれてもいい

-- 塩路さんの肩書きを教えてください。

塩)僕は何と言われようと甘んじて受け入れます。 僕の事を「職人」と言う人はそれでいいし、「デザイナー」と言う人はそれでもいい。素人と呼ばれてもいい。その回答を僕はモノで出すしかなくて、話して説得してこう思えというやり方に僕は違和感を感じます。僕は○○になりたいではなくて、何をやるべきかという方を重視しています。


-- それは、お客さんやsiosに関わる人に生かされながらモノをつくっているという感じなんでしょうか。

塩)うーん。モノとお客さんと僕たちの関係性というのは一つだけの定義をつける訳にはいかないですから。僕自身の生き方としては、今の人生が二回目の人生だったらどうするかというような事なんですよ。自分がゼロから始まった訳ではなくて、ある一定の所まで到達していて、それをいきなりゼロにリセットされた時どうするか。
そういうつもりでやると、毎日時間を無駄にせず大切に生きる事ができるんです。
これは実体験によるものなんです。僕は一回死んでいるんです(笑)。

五)彼は中学生の時に一回、病気になったことがあるんです。

塩)一年間入院して、二ヶ月くらい寝たきりで、体が動かなくて、言葉も喋れなくて、食物も食べれなくて、意識も無くて。ひとりで何も出来なかったんです。
中学二年まで描いていた夢を自分の意志とは無関係に強制的にリセットされて、じゃあこれからアナタはどうやって生きていきますか?という事を体に問われた感じです。
でもこれは悲しい話ではなくて、その出来事が今となってはラッキー!って感じですね。結局、選択肢が少なくなった事が自分には良かった。

自分の肉体を信じる

-- サイオスを立ち上げた当時は、色々と苦労があったと思いますが。

五)私達は肉体的な大変さは、大変だと思わなかったけれど、お金がない事が切実でしたね。

塩)2004年のsiosスタート当時に、雑誌の取材で東京から来た記者の方に食事に誘われたのですが、口座に二千円しか無くて行けなかったこともありました(笑)。でもお金は必要な分だけあればいいです。物欲はあまりなくて、CDを買うくらいかな。一日中音楽を聞きながら仕事するので。
基本は自分の肉体を信じる。微妙な感覚があるでしょ?その感覚を信じる。
モノをつくるのも絵を描くのも、敏感であれば音で描けたり触覚でつくれたりするんです。

五)スタート当時は、一本ずつ作ってそれを売ろうというから、それはサンプル(試作品)をばらまいてるような事なので、やっていけるのかと思いました。デザインなんていくつも出ないと思っていましたし(笑)。不安でした。

塩)そうなんですよ。でも実際は、デザインが余ってるんです。

五)やってみると想像以上の展開が待ってました。

塩)このデザインを描くのは、月に1〜2日の内の1〜2時間程度なんですけど、一気に何十型も描くので、作る方が追いつかない状態なんです。
彼女は描いていると気持ちがいいみたいなんです。僕はそのスケッチを鏡を持って横で待ってる。「先生〜」とか言いながらね(笑)。

五)そういう風に遊びっぽくやっていると、モノにも楽しさがこもるんじゃないかなと思います。

塩)そうだね。そういう感じがお店の方にも伝わると、サイオスのメガネのスタンスがお客さんにも伝わりやすいんじゃないかなと思います。

サイオスのデザイン観

-- お二人はデザインについてどのように考えておられますか?

塩)今、即興でデザインをしてみましょう。

-- ここで、なぜか席替えタイム。--

塩)これがデザインなんです。今、各々の席が替わる事によって皆の視点が変わった。そして、そのことによって空間が変わった。皆の人生が少しだけ変わった。今それをしたから、話す内容も変わってしかるべきだし、一瞬みんなの感覚が刺激された。この感覚がデザインだと考えてます。
そして、知江子(五味さん)は絵が描けるからメガネの絵を描く。僕は人生の設計をする。

-- モノではなくてコトのデザインですか?

塩)もちろんモノもやりますけどね。

五)基本的に何をどう動かしていくかという事がないと、デザインはできないと思うんですね。

塩)センスとか感性というのは、所詮人間が創った言葉に過ぎなくて、デザインもアートも極論を言えば言葉に過ぎない。アートやデザインという言葉自体にはカタチが無いですから。
デザインやアートや職人などという言葉自体は必要ではあると思うけど、僕の中では重要ではない。自分にとって必要と重要は分けないといけないと思います。

-- では、そういう意味で、サイオスはどうあるべきだと考えていますか?

五)サイオスは、まだまだ進化中なんですけど、すごく純粋になっていきたいという気持ちと、自由になりたいという願望があります。
siosのメガネに共感してくださっているお客さんは、「かわいい」とか「綺麗」、「美しい」という感覚に、純粋に反応してくれている感じがして、こっちが狙ってそうしているのではなくて、結果的にそうなっている感じがします。
だから、こっちも純粋に綺麗だな、美しいなという感覚に対して、そのまま素直にモノをつくりたいです。

-- 万人受けしないものではなくて?

五)そう。これは私の意見ですけど。
サイオスは私と彼のどちらかが引っ張っているわけではなくて、サイオスに引っ張られて私達が動いている感じかな。

塩)サイオスに関して言えば、その質問に対して、答えるべきかどうかという事をまず考えてしまいますね。サイオスがどこに行くかどうか僕たちにもわからないままにやりたいという感じです。それを期待されている気もするし、それをやるべきだと思います。
それを断言して型にはまるより、デザインの中にはもう少し言葉では説明できない何かがあるんじゃないかな。その部分を大事にしたい。
トライする時によくありますけど、失敗してもいいからって挑戦してみる事は大事ですね。新しいやり方が合っているかどうかは判らないけれど、失敗する事によって、これまでのやり方が合っていたかどうかの確認にもなりますよね。そういう事をしていきたい。
モノを作ったりデザインしたりするということは、「誰かの為に」というように対象があると思うんです。でも、自分の為なのか人の為なのか、分からないというか、霧がかかった明確じゃない部分があっていいのかなと思います。

-- でも確実に二人のなかで価値観は共有できているんですね

塩)そうですね。モノを通してコミュニケーションは取れています。
でもそれはほんの一瞬かもしれないし、その制限はしたくないかなと思います。

sios:サイオス

-- siosという名前にはどのような意味が込められているのですか?

塩)意味は色々あるんですけど、塩路のsioに、アポストロフィーのs、というのと、sosにiを入れてsios。iは絶対「アイ」と読ませたくて。
ロゴマークはすべて目をモチーフにしてデザインしています。
まあ詳しく説明しなくても、各々が勝手に感じて想像してほしいという気持ちがあります。そういう状況が面白い。
自分たちが回答をつくってそれを守ろうという考えはありません。

メガネデザイナーとは

-- メガネデザイナーに必要なことはどんなことだと思いますか?

塩)デザイナーのコミュニケーションツールは、紙と鉛筆だと思うんですよ。だからデザイナーに画力は必須だと思います。 職人の質と品のクオリティーが比例するように、デザイナーの質と画力は比例すると思うんです。いくらパソコンが出来ても画力が無いと話にならない世界があります。デザインを極めるという限り両方できないといけないと思いますね。
メガネデザイナーという職業は、デザインするモノがメガネと決まっていて、それをいかに深く掘り下げていくかという職業なので、その分野に精通してないとダメです。本当いうと、デザイナーに関して言えば絵が描けて作れてというのが理想なんだと思います。僕らは最初からチームなので、自分達で描いて自分達で作ってそれを発表しています。直結しているじゃないですか。それがメガネデザイナーにとって必要なのか必要じゃないのか。これは僕にも分かりませんし、どちらが正解とも言えませんが、これが僕らの方法です。
たまにデザイナーが作れるようになると、作りやすいものしかデザインしなくなるという人がいますが、僕はそんな事は全くないと思っていて、作ってみてアイディアの枯れる人は、最初からアイディアの無い人だと思いますね。

五)でも作りやすさもデザインの内ではあるよね。いかに製造現場が円滑に動くモノをデザイン出来るか。

塩)だよね。そうではある。

五)でも作ってみるとアイディア出てくるよね。

塩)そう。作ると出てくる何かがある。
本当は分業を念頭に置いたマスプロダクション(大量生産)でいいのかもしれないけど僕はこの直結した流れの中に身を置く事で技術は伸びると思っているんです。

オーダーメイド

-- オーダーメードのメガネもつくられているということですが?

塩)お客さんからテーマが来て、それに関してこちらが提案するという形が多いです。「歌舞伎」のメガネとか、あと「島」という漢字をメガネにした事もありました。 歌舞伎にはルールがあるので、まず歌舞伎の勉強から始めましたね。本を読みあさったり。

-- 完成までどのくらい掛けるのですか?

五)一本あたり、半年から一年位かけますね。お互いの気持ちを納得させながら作っていくので何回も打ち合わせをしますし、そのくらいかかってしまいます。

塩)知江子が描いたスケッチを彼女自身は判断しないんです。このスケッチから僕が形を作っていくんですね。良い職人は、デザインを見分ける力が無いといけないと思いますし、デザイナーはもっと自由に描けないといけないと思うんです。

-- デザインスケッチを描いているときは、完成形を頭に描いているのですか?


五味さんが即興で描いたスケッチ

五)私はこのデザインスケッチを使ってこうしてほしいと思っているのではなくて、このスケッチを使って何かできたらいいねという感じで描きます。これはあくまでも紙上のもので、ただ気持ちよく鉛筆を滑らせているだけ。頭に全くイメージがない場合もあります。

塩)スケッチは大体一ヶ月で数時間。一時間で50型位描くんですけど、その位の思考レベルで描いたものを作るのが一番ピュアだと思うんです。言語化する前の思考が最も純粋だと。そこから僕が色々考えて形をつくっていきますが、原画自体はピュアであってほしいんです。メガネ的であればいい。

五)昔はもっと絵で説明しようとしてて、メガネっぽいものを描いてましたね。今は大体のボリュームが取れるようになりました。ただ、メガネ以外のものは描けないですね。

塩)最近は僕が作るスピードよりも、彼女が描くスピードの方が早くて、ハッキリ言ってデザインは余ってるんです(笑)。
もし要求を出すとしたら、具体的に「これを描いてくれ」ではなくて、「こういう描き方をしてくれ」ですね。

次世代へ

-- 若い方が弟子にしてほしいと訪ねて来る事もありますか?

塩)ありますね。
やはり気になりますね。「勝手にやって」という訳にもいかないので。
やっぱりこの仕事は、一人では出来ないと思います。遊びじゃないですからね。
僕達は、この仕事をするためにあきらめてきたものもあるので。その人にその覚悟があるかどうか問うて良いのかどうか・・・。
やっぱり楽しい事ばかりではないですから。僕たちがそういう風に見せてしまっている部分もあると思いますが。まあ、実際楽しいんですけどね(笑)。
そういう人に望む事といえば、地道に良い時が来るのを待ってほしい。そのくらいメガネが好きな人ならば、やっていけるんじゃないでしょうか。

五)誰かのお墨付きをもらえたら、それで食べていけるという世界ではないですからね。

塩)そう。それについては僕らがこれから何をやって、どう次の世代に示していくかなんだと思います。

-- そういう意味では、一生メガネづくりをやって行かれるつもりなんですね。

塩)8割型メガネかな(笑)。
人脈が出来てしまっているから。その中に自分もいて、まわってるって感じです。
僕が初めてお店に自分のメガネの営業に行ったのは24歳の時でした。お店の方は驚いていましたね。たまたまですけどね、いろんな偶然が重なって今があるわけです。運命には逆らえないですからね。

五)心の中ではこれは運命だな!って信じている自分もいます(笑)。

塩)やる気だけではダメで、やる気を継続させていく、自信を維持していくことが必要ですね。ある程度のところまで来て次のステップに行こうとすると、やっぱりこれまで以上の努力が必要なのも分かってきました。
今はこのやり方で色んな人が共感してくれて認めてくれているけども、お客さんはその次を求めているだろうし、僕たちもこの次の展開を求めています。 そういう意味では責任感も出てきたかなと思います。

五)今まで努力したのは朝起きる事くらい(笑)。

塩)そうなんです。ここが足りないよとか、これでいいよって言ってくれる人がいないと客観的なものができないと思います。

五)私達は悲しい事やマイナス感情をメガネにのせたくないという気持ちがあって、モノはポップに仕上げたいと思ってつくっているけれど、実は裏側では地面を這うような感じなんです。

メガネでなら、夢が描けた

-- メガネづくりの喜びはどういう所にありますか?

塩)今のこの場みたいな事かな〜。
メガネを通して色々な人と逢えることですね。メガネが売れたかどうかとかよりもメガネをネタに色んな人と交わえるのが楽しいです。

五)「メガネでなら夢が描けた」という感じです。メガネをツールとして色んな事ができると思ったし、アイデアもひらめきやすかったんです。

「外すと見えなくなるもの」「題」

-- お二人にとってメガネとは?

塩)それは作る側にとっては全く重要ではない事ですね。
使っている自分にとっては「外すと見えなくなるもの」。僕は目が悪いので外すと前が見えないです。メガネを外したとき、将来も見えなくなる。僕が描くメガネが無くなる。だから僕はメガネを掛けるし、メガネを作るんです。
僕の考えでは、メガネは他人から見たメガネではなくて、掛けてる人から見たメガネ。要するに僕自身が見る為のメガネなんです。

-- 五味さんはどうですか?

五)「題」です。図工みたいな事が仕事になればと思っていて、それをメガネでやっている感じ。
私は、コンタクトをしてるんですけど、家ではメガネを掛けます。そういう女性もいると思います。そういう人の為のメガネをつくりたいという気持ちもあります。

塩)外では掛けれないけれど、家なら掛けれるっていうメガネがあってもいいですよね。角が生えていても、すごい形のメガネでも、家の中でなら逆にいいじゃないですか?という提案もあります。オシャレであったり綺麗なモノを他人に見せるという考えじゃなくて、自分が自分だけで楽しむ世界があってもいいと思うんです。

そういうライフスタイルの中でのメガネの用途を、メガネを作る側はもっと提案しなければいけないと思うんです。それに対して使う側からのアクションもどんどん出てくればいいかなと思います。
ちなみに僕がコンタクトをしたいと思うのは、メガネ屋に行ってメガネを選ぶ時ですね(笑)。

僕たちの仕事はライブのような感じ

塩)僕が考えている機能性というのは、美しさが伴わないといけないと思っています。ただ機能だけを追求しているものはしんどいんです。機能的なものを美しい形に落とし込む所までいかないといけないと思うんです。機能だけのモノはデザインされていないに等しいんじゃないでしょうか。
体にいいけど美味しくないものはなるべく食べたくないですよね。それと同じで、機能だけで美しくないのは良くないと思うんです。
サイオスはマスプロダクションでは無いので、そこまで考える必要は無いのかもしれませんが。
僕たちの仕事はライブ(即興)みたいなもので、ある程度ざっくりした判断基準の中で作ってしまう。だから、少量多種でなければと思います。
マスプロダクションをやる場合の使命は、限りなく0円に近い価格で提供することだと思います。沢山つくるなら、より多くの人を対象とするべきです。
でも、お客さんのニーズに合わせて選択肢をつくりますよね。作り手サイドが種類を提供したいのか、量を提供したいのか、それを吟味して生産体制を整えなければならないのです。無駄なモノを作ることがない。
これが理想だと思うんです。
仮に世の中からお金が無くなったとすると、各々の使命は、自分の身を削って他人にどれだけのものを差し出すことができるか。それは、他人にどれだけ役に立てるかという価値観に置き換わるんじゃないかなと思うんです。それでも人は生きていけると思います。デザインは深い所までいくと、そこまで行く気がします。

五)自分たちがデザインする時、どういうモノを作ろうかと考えた時も、そのフィルターに一度通してやってるという感じです。

塩)そう。自分たちが何をつくるかということを考えた時、その考え方はとても役に立ちます。今の社会は、どうすれば儲かるかということが判断基準になっていて正直しんどいです。
今のルールの枠を超えた所でやっていかないと、やりきれないところがあります。

素の自分

-- 情報収集はどのようにされていますか?

塩)自分の内側からくるものを大切にしています。最近パソコンをもらったんですが、情報収集には使いませんね。どうしても外部から入ってくる情報もあるんですけど、なるべくそれを無くして、頭を白紙の状態にもっていくエクササイズをしてから、自分たちのモノをつくっていくようにしています。
要するに、「素の自分」になろうということに対して力を注ぐんです。だから外から得られた情報に対して連想するという事は無いですね。

五)スケッチを描いている時も、最初は何かの残像が頭の中に残っていて、それが絵に現れがちになるんですが、そこからどんどん描き進めていくと、自分でも「ウソっ」と思うような線が出てきたりする時があります。その無意識なレベルを大事にしています。

塩)彼女はそれを紙と鉛筆で。僕はそれをヤスリと妄想でやっているって感じです(笑)。

五)サイオスはそういうものなんです。

塩)もちろん僕にとって大事なのはデザインだけじゃないですよ。作るのも大事だし、メガネを通して人と会うことも大事なんです。