鯖江メガネファクトリー｜052 品川善四郎（機械職人）

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有限会社アシストの品川善四郎社長は、眼鏡を作る機械の修理・製造・販売を行い、社名の通り眼鏡職人さんを「アシスト」するお仕事をなさっています。その腕前は、「品川社長に直せない機械は、他をあたっても直せない」と語る眼鏡職人さんもいるほどです。そんな眼鏡機械のお医者さん・品川社長にお話を伺いました。

何でも直せる、機械のお医者さん！

--眼鏡作りにはいろいろな工程がありますが、社長はどういう機械を修理されているんですか？
品川善四郎氏何でもです。ありとあらゆる機械を扱っていますよ。どのメーカーの機械でも、ときには異業種の機械も扱っています。知ってのとおり眼鏡づくりにはさまざまな工程があるので、修理も分野ごとに専門家がいるわけです。でも私の場合は、一軒の工場にある全部の機械の面倒を見させて頂いているお客様もいます。

--鯖江市内には、品川社長のような機械のお医者さんはたくさんいらっしゃるんですか？
たくさんはいないし、総合的に何でも直す人はなかなかいないね。

--なるほど。修理はどれくらいの時間で出来るんですか？
それは、こわれ具合によって違うよ。早いときは5分くらいで直るときもあるしね。でも大きな修理になってもできるだけ早く直すように心掛けている。スピードは取り柄の一つだね。眼鏡会社さんからしたら、その機械がストップすると作業が進まないんだから。とにかく早く使えるようにしてあげることが大切ですね。

--品川社長はこの業界に入られて何年になりますか？
30年くらいだね。最初は全く畑違いの仕事をして、その後この業界に入って眼鏡の機械の製造販売を10年して、今の会社を立ち上げて20年かな。

--ということは、機械の製造や修理は独学ですか？
そう。でも昔の機械は今よりも単純な作りだったから直しやすかったですね。それからどんどん複雑な機械が出てきたけど、そこは仕事をしながら日々勉強です。

-- 機械は本当に何でも直せるんですか？
全くできないことはないよ。部品が無いものは、自分で作ったりしてどうにか直してきましたから。

--修理の依頼は月に何件も来るんですか？
修理の依頼はそんなに多くないよ。実はうちがメインにやっているのは、治具（じぐ）作りなんですよ。

メガネ屋さんをアシストする

--治具（じぐ）って何でしょうか？
眼鏡を作るときに、機械があれば出来るわけではないんです。機械が上手くカットしたり削ったりするには、材料を取り付けて固定するための取り付け台が要ります。その取り付け台を治具と言います。治具の良し悪しで加工精度が決まる。治具は1/100ミリの誤差があっても製品の仕上がりが違ってくる。良い治具でないと良い眼鏡は作れないんです。

-- なるほど。そういえば、眼鏡会社に取材に行った時に見たことがあります！
治具屋さんっていうのも、修理屋さんと同じで結構珍しいんですよ。作るのが難しいから。

-- どういうところが難しいんですか？
松村新一郎氏眼鏡づくりのことがよく分かっていないとだめ。どうゆう仕上がりにしたいかをイメージして、そのためにどう加工するか、ＮＣマシーンの動きをどうするかなど常に先々のことを考えないと治具は作れない。経験と感覚に頼るところも大きい世界だから口ではなかなか教えられない仕事ですね。

--ということは、眼鏡作りに関しても社長は詳しいんでしょうね？
治具の製造工程。放電しながら金属を削っていく。治具を作るときに、眼鏡の作り方のアドバイスができるように、メガネ屋さんの製造工程を広く浅く見て頭に入れています。

--お仕事をしていて一番気を張るところは？
治具は小さいけど値が張るものだから、失敗しないように常に心がけてますね。あとはやっぱりスピードだね。治具は2~3日で作らないと、眼鏡屋さんにしわ寄せが来ますから。納期が遅れたら大変だから。

--まさに眼鏡屋さんをアシストしているという感じですね。
自分がアシストした会社がどんどん成長していってくれるとうれしいし、その会社がうちを信頼してくれるとやりがいがあるしね。これからも地元の眼鏡屋さんのためどんどんアシストしていきたいですね。

--本日はありがとうございました！