現在の西山公園は安政3年（1856）に鯖江藩7代藩主間部(まなべ)詮勝(あきかつ)が領民共々の憩いの場となるよう願いを込めて嚮陽渓(きょうようけい)を造成したことに始まる。嚮陽渓碑は藩主自らが石碑の選定を行い、直接侍臣に彫刻させて建立したものであり、碑に刻まれた詩からは詮勝の民衆に対する姿勢を伺い知ることができる。
　詮勝は奏者番(そうじゃばん)・寺社奉行・大坂城代・京都所司代・西丸老中・老中を歴任して幕政に関与し、鯖江にあっては嚮陽渓の開発・教育の充実・藩財政の改革に尽力した人物である。書画にも長じ、雅号を松堂・常足斎・晩翠軒と号して多くの作品を今に遺した。

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