第423回鯖江市議会定例会での提案理由説明(令和2年2月17日表明)
ページ番号:665-985-894
最終更新日:2020年2月18日
第423回鯖江市議会定例会の開会に当たり、令和2年度当初予算案をはじめ各議案のご審議をいただくに際し、市政運営に当たっての所信の一端を申し述べますとともに、市政の諸課題につきまして、その概要をご説明申し上げます。
はじめに、令和2年度当初予算の概要について申し上げます。本年は「第2期鯖江市まち・ひと・しごと創生総合戦略」のスタートの年であり、「世界のめがねの聖地SABAE」の確立に向けて、「女性活躍」、「環境」、「国土強靭化」、「Society5.0社会」に関する事業をはじめ、子育てや教育環境の整備、施設の長寿命化など様々な事業に取り組むことから、過去最高の規模となる積極的な予算編成を行いました。
主な歳入ですが、市税は、給与所得の増加により個人市民税は4千800万円、新築家屋や設備投資の増加により固定資産税は6千100万円の増収をそれぞれ見込み、市税全体では対前年度比1億1千100万円増の94億3千800万円を計上しました。
また、地方消費税交付金は、消費税率の引き上げに伴い1億7千万円増の14億2千万円を、地方交付税は、地方財政計画を踏まえ1億円増の45億6千万円を、市債は、普通建設事業費の増加に伴い3億8千700万円増の27億3千730万円を、平成27年度に発行した「元気さばえっ子・夢みらい債」の償還に充てるため、減債基金からの繰入金として3億円を、その他必要な財源確保のため財政調整基金から2億4千万円を繰入れました。
歳出においては、幼児教育・保育無償化や子ども医療費助成の拡充など、子育て環境の整備に伴う事業費、幹線道路の改修や道路消雪の整備費を増額したほか、文化の館の空調改修や立待公民館の大規模改修など施設の長寿命化に係る経費、会計年度任用職員制度の運用開始による処遇改善に係る経費を計上しました。市債残高見込額は、令和2年度末で259億円を下回る見込みであり、今後も引き続き将来を担う子や孫に過大な負担を残さぬよう、市債の計画的な償還に努めてまいります。
一方、国民健康保険事業につきましては、市国保運営協議会から、来年度については、国保特別会計に財源の不足が生じた場合は、国保基金を活用することとし、税率改正は行わないという答申をいただきました。県から提示された国保事業費納付金額を踏まえると、来年度は9千万円の財源不足が生じることから、今年度末で約3億円の残高見込みとなる国保基金から繰入れることとします。引き続き、被保険者数が減少する中で、国保税が減収となる一方、一人当りの医療費は伸び続けており、さらに、団塊の世代が後期高齢者に移行する中、後期高齢者医療制度への支援金や介護保険への納付金も増加していくことから、再来年度には現行税率の改正が必要になると見込まれ、国保税算定方式における資産割廃止の段階的な導入とともに、慎重に議論を進めてまいります。
それでは、当面する市政の諸課題について申し上げます。
まず、SDGs推進の取組みについてですが、昨年7月に内閣府から選定を受けましたSDGs未来都市・自治体SDGsモデル事業の一環として、昨年12月5日から7日までの日程で、国連における女性問題の第一人者であり、国連ニューヨーク本部SDGs推進会議の議長を務めておられるアンワルル.K.チャウドリー大使を本市にお招きし、議場でのスピーチや中学生を対象とした講演会、市民向け公開シンポジウムを開催しました。これらの中で、大使からは「ジェンダー平等と女性のエンパワーメントは、SDGs17の目標を達成する上で欠かせないものであり、女性活躍を礎としてSDGsの目標達成に向けて取り組んでいる鯖江市をこれからも応援する」という力強いメッセージや、「鯖江市のジェンダー平等に向けた取組みを、引き続き世界発信するとともに、世界の様々な事例を市内外の皆さんに紹介し、新たな活動へつなげる情報収集・発信の拠点整備を推進し、将来的には国際的な女性会議の開催も視野に入れてほしい」との要請がありました。この要請を受け、福井県眼鏡協会のご協力をいただき、めがね会館9階に「(仮称)SDGs推進プラットフォーム」を整備いたします。この施設は、当面は市内外の企業、市民、学生、団体など多様なステークホルダーが集い連携する中で、SDGsの普及啓発や経済、社会、環境の3側面の好循環を生む取組みを進め、将来的には国連の関係機関とのパートナーシップにより、連携プロジェクトを実施する拠点となるよう環境整備に取り組んでまいります。
その他のSDGs推進関連事業についてでありますが、一昨日、全国OCサミットin鯖江が約150人の参加の中で開催され、市内外で活躍している5人の女性の事例発表などを通して、自分らしく活躍できる社会について考える場となりました。また、本市と福井県眼鏡協会、TGC(東京ガールズコレクション)を運営する株式会社 W TOKYO、国連の友アジアパシフィックの4者で、今月29日に連携協定を締結いたします。TGCがSDGs推進に積極的に取り組んでいることや10年前に私がTGCのステージに出演させていただいたことが「めがねのまちさばえ」のブランド力強化につながったという実績もあり、協定締結の運びとなりました。具体的な事業としまして、同日開催される「東京ガールズコレクション2020」の中に「メガネ・TGCスペシャルコラボレーションステージ」を組み込み、「めがねのまちさばえ」の認知度向上を図るとともに、来月8日の国際女性デーにあわせて実施する「SDGs Goal5 オレンジめがねキャンペーン」のPRを行います。このキャンペーンでは、福井県眼鏡協会や日本眼鏡関連団体協議会、国連の友アジアパシフィックとともに、市内はもとより全国の眼鏡小売店約3,000店舗がポスターの掲示等を通して、ジェンダー平等の意義や重要性を広く周知するほか、市内では市民参加型のイベント等も開催いたします。なお、これら本市から全国へと広がる取組みを、今年6月に国連ニューヨーク本部で開催されるSDGs推進会議にレポートするための訪米を予定しております。今回の訪米では、国連の関係機関との連携プロジェクトの可能性についても協議してまいりたいと考えております。
次に、昨年から耐震改修工事を行ってまいりました、夢みらい館・さばえにつきましては、来月22日に完成記念式典を行います。1階に、新たにキッズスペースや授乳室、多目的トイレを整備しましたので、子育て中の皆様はもとより男女共同参画の拠点施設としてこれまで以上に多くの皆様にご利用いただきたいと考えております。
一方、市役所におきましても、率先して、女性や若手職員が、いきいきと働ける職場づくり、休暇を取得しやすい環境づくりに努めます。昨年取組みを始めた「わたしの日」の設定や、その日を含めた連続休暇の取得を積極的に推進するほか、計画的・定期的な休暇取得を促進するとともに、フォロー体制を構築するなど、休める環境づくりを進めてまいります。
次に、今年度、策定作業を進めてまいりました「第2期鯖江市まち・ひと・しごと創生総合戦略」についてでありますが、先月にパブリックコメントを行い、近く策定を終える予定であります。同じく策定中であります「第5次鯖江市男女共同参画プラン」につきましては、「SDGsの目標5ジェンダー平等を実現し、女性が活躍しやすいまちづくりの推進」を基本理念に掲げ、「男性の理解と意識改革の推進」と「女性の参画意欲の向上」を両輪に女性が活躍しやすい環境整備を促進します。また、「第2期子ども・子育て支援事業計画」につきましては、「子どもの育ちへの支援」、「親育ちへの支援」、「地域と社会で支え合う育ちへの支援」の3つの施策を柱とし、市民、企業、団体、行政が一体となって子どもの育ちと親の育ちを支え合うまちづくりを進めます。「鯖江市消費者教育推進計画」につきましては、SDGsの目標12「つくる責任つかう責任」を本市独自の重点項目とし、食品ロスの削減やエシカル消費の推進、地産地消など「地域・社会・環境に配慮する消費者意識の醸成」や、浸透するキャッシュレス社会への対応策、令和4年4月からの成年年齢引下げに伴う若年層の消費者トラブル防止等について盛り込み、学校、地域、家庭、職域など様々な場において、幼児から高齢者まで生涯にわたり、事業者も含めた消費者教育に積極的に取り組んでまいります。いずれの計画も、現在、パブリックコメントを実施中であり、年度内に策定を終える予定であります。さらに、「国土強靭化地域計画」については、9月の策定を目指して作業を進めており、「鯖江市空家等対策計画」につきましてもパブリックコメントを実施中であり、今年度中に策定いたします。これら全ての計画にはSDGs推進との関係を明記しており、各計画を連携して推進し、安全で環境にやさしく、安心して子育てができるまちで女性が更に輝き地域のエンパワーメントを引き出すことで、持続可能なまちづくりを目指してまいります。
さらに、来年度は、「第8期鯖江市高齢者福祉計画・介護保険事業計画」および「第7次鯖江市保健計画」を策定します。少子高齢化や核家族化の進行、ライフスタイルの変化など、市民の生活環境が大きく変化する中、総合戦略の基本施策「生涯現役で生涯青春のまち」の実現に向けて、高齢者が笑顔あふれる居場所と出番づくりを進めるとともに、地域の全ての人が個人の尊厳を認め合い、支え合い、いつまでも自分らしく生活を営むことができるような地域包括ケアシステムを構築するなど、全ての市民が生涯にわたり心身ともに健康で過ごせるまちづくりに取り組んでまいります。
次に、北陸新幹線建設事業でありますが、市内工区では、鞍谷川橋りょうが架設されるなどトンネルや高架橋工事が急ピッチで進められており、県内におきましても、12本のトンネル全てが年内に貫通見込みであり、春からは福井高瀬高架橋から順次レール付設工事が開始されるなど、2023年春の開業に向けて工事は着実に進捗しています。
一方、北陸新幹線敦賀開業にあたっての特急存続の課題についてでありますが、特急存続が並行在来線の収支に与える影響などにより、県内沿線市町がそれぞれ異なった考えを持つ厳しい状況ではありますが、やはり大阪開業までの間は、必要な財政措置も含めて国の責任において福井駅までの特急サンダーバードの乗り入れを実現するべきという思いは一貫しておりますので、利便性の確保に向け、鯖江市議会や関係団体の皆様と共に、JR西日本金沢支社への要望を継続してまいります。その並行在来線につきましては、昨年8月に準備会社が設立され、今年度には33名の内定を行い、さらに今後2年間で計100名程度の社員を確保する予定となっております。県並行在来線対策協議会では、2次出資金や経営安定基金の算定、また利用促進に向けた経営計画の策定、さらに福井鉄道福武線との事業連携に向けた議論が本格化してまいります。これら高速交通網の変化を迎える中、交通ビジョンを策定中でありますが、来年度には、並行在来線の新駅の可能性やJR鯖江駅東口、高速バスの利便性向上の検討に向けた調査を行うほか、県の支援をいただきながら河和田地区の地域交通に有償ボランティアが果たす役割を検証する自家用有償旅客運送実証事業に支援を行ってまいります。
それでは、地方創生の推進に関する主な事業について、4つの基本目標に沿って申し上げます。
まず、基本目標1「魅力ある雇用の創出」に向けた取組みについてですが、2020東京オリンピック・パラリンピックを一つの商機と捉え、地方創生推進交付金を活用し、訪日外国人向けの土産品と福祉・介護用品をテーマに大学等と連携して新製品開発と新規販路開拓に取り組んでおります。津田塾大学との連携では、開発した漆の蒔絵体験キットを今月5日から7日までの3日間、東京ビッグサイトで開催されました東京インターナショナルギフト・ショーに参考出品したほか、同じく今月7日から13日まで東京スカイツリーの「Beautiful NIPPON」全国観光PRコーナーで実施した本市PRイベントにおいて、同大学の学生延べ16名が、語学力を生かして訪日外国人観光客などに本市の産業PRを行うとともに、蒔絵体験キットの市場調査を兼ねた体験指導を行いました。その結果、名刺入れやトレー等に気軽に蒔絵を楽しめ、漆文化と職人の技法を体感できるユニークな一品に、会場を訪れた複数のバイヤーや旅行者から高い評価を得ることができました。いよいよ今夏となりました東京五輪と連動した本市産業のPRに今回の結果を生かしてまいります。
次に、サテライトオフィス誘致事業の進捗についてでありますが、昨年の12月に東京でのセミナーに参加し、「ITのまちさばえ」の取組みを中心に本市のPRを行いました。来月11日から2日間、今年度2回目の本市視察ツアーの開催を予定しており、本市の立地環境などを直にみていただくことで、企業の進出意向を高めてまいります。なお、本市に進出した企業5社では、地元雇用や都市部からの移住者の採用を積極的に進めており、現在、合計40名が従事されております。本市では、引き続き進出企業の動向を注視するともに、さらなる都市部企業のサテライトオフィスを誘致することで、若者や女性に魅力ある雇用の創出に努めてまいります。
一方、中心市街地の商業者3者が共同で、本町1丁目の空き家を利活用して、イベントやワークショップ、ビジネス用途でも使用可能なコミュニティスペースとシェアオフィスを備える「コミュニティシェアオフィス Hana Innovation Lab(ハナイノベーションラボ)」の整備を進めております。4月2日のオープンを予定しておりますが、すでに、東京の企業1社がサテライトオフィスの開設を予定、1社がコミュニティスペースでのビジネス利用を希望しており、近隣商店での消費拡大や新たな雇用の創出が期待されています。市では、今後も中心市街地への誘客や販売促進に意欲ある商業者への支援を行うなど、民間力の活用による街なかの活性化を目指してまいります。
次に、越前漆器産地の取組みでありますが、東京インターナショナルギフト・ショーに、本市と越前漆器協同組合、香川大学創造工学部の教授および本市で共同開発したユニバーサルデザインを取り入れた漆器セットを出展しました。老若男女、障がいの有無にかかわらず全ての人が使いやすいデザインを目指した食器として、高齢者施設や病院等はもとより、一般家庭も含めた幅広いシーンでの使用を想定しており、新たな市場開拓を担う製品になるものと期待しております。
また、越前漆器協同組合においては、来月18日から22日まで、オランダのアムステルダム市において、産地組合にとって初となる欧州での展示会を開催する予定です。同組合では、平成29年度から漆芸の第一人者である東京藝術大学名誉教授の三田村有純先生の指導の下、産地の職人等を対象に越前漆器夜学塾を開催するなど、越前漆器の海外展開を目指した商品開発に取り組んでおります。今回の展示会は、その成果を検証するとともに海外での漆の市場性を調査するため、日本の「禅」と越前漆器を結びつけた「ECHI・ZEN LACQUERWARE(越前ラッカーウエア)」を掲げて開催するものであり、産地の更なる飛躍につながることを期待しております。
次に、今年で60周年を迎える鯖江商工会議所では、会議所の1階部分をSABAEモノづくりマーケティング拠点「Sabae Creative Community(サバエ クリエイティブ コミュニティ)」として改修し、先月22日にオープンしました。「作るだけの産地」から「作って売る産地」へと大きく飛躍する体制を支援するための拠点に位置付け、商品開発・販売・市場調査・情報発信などの過程を一貫して行い、効果的に売れるものづくりを支援するとのことであり、市では、サンドーム福井内の「デザインセンターふくい」と併せて、市内企業に活用を促すことで、更なる国内外への販路開拓や、産地のブランド化を進め、地域経済の活性化を図ってまいります。
一方、市では、JR鯖江駅構内の観光案内所に、本市のものづくりをPRするとともに、ものづくり職人の作業工程を見学できるブースの設置を計画しております。出店事業者は、眼鏡・繊維・漆器の三大地場産業に絞りプロポーザルで決定する予定ですが、作り手と消費者が顔を合わせ、製品を購入し、アフターケアも行う空間を整備することで、ものづくり産地の魅力発信や鯖江駅を利用する来訪者の満足度向上につながることを目指してまいります。
次に、丹南5市町が連携して取り組んでおります丹南地域周遊・滞在型観光推進事業の状況についてでありますが、今年度は、「カーシェア入門活用セミナー」を開催し、カーシェアサービスへの登録支援や登録に必要な車の撮影会を開催するなど、観光客の移動手段としてのカーシェアの普及に取り組んでおります。来年度は、移動手段や宿泊など受入体制の整備に向けた戦略の策定や観光情報ポータルサイトのテスト運用を開始するなど、北陸新幹線敦賀開業に向けて、丹南地域への更なる誘客とインバウンド需要の取り込みにも対応できるよう市町間の連携を強化してまいります。
次に、農業振興についてでありますが、令和2年産米につきましては、福井県農業再生協議会から、昨年より1.2%減の6,963トンの目安が示されましたので、昨年より0.4%高い転作率36.7%を農家の皆様にお願いしてまいります。「いちほまれ」につきましては、今年度は、13の農家で、約40haの農地で生産されたところであり、来年度も生産拡大に向け支援してまいります。
なお、農地中間管理事業についてでありますが、昨年の「農地中間管理事業の推進に関する法律」の一部改正により、今年の4月以降は、市の農業公社で農地の賃貸借権の更新ができなくなるため、市公社で請け負っている約170haについては、賃貸借権の更新を迎えた農地から農地中間管理事業へ移行してまいります。
一方、「さばえ野菜」の秋冬どりブロッコリーにつきましては、栽培面積は拡大しておりますが、昨年秋の高温多湿の影響により「黒すす病」が発生し、昨年の収量を2万2千個余り下回る結果となったため、JAたんなんとともに被害に遭われた農家に対し、被害助成金を支給いたしました。今後、JAを中心に県と連携し、このような新たな病害についても防除の講習を適切に行うなど、対策の徹底を図ってまいります。
また、葉物野菜の「さばえ菜花」につきましては、平成29年より、季節に先駆け、出荷できるよう試験栽培を行っており、昨年同様、1月上旬から、県民生協をはじめ市内スーパーに出荷しております。引き続き、消費者の反応を見ながら生産体制を整えてまいります。
なお、今年で11回目となる「さばえ菜花まつり」を4月11日、12日の両日、舟枝町の「さばえ菜花米」圃場周辺で開催します。「さばえ菜花米」を広く市内外の皆様に知っていただき、その消費拡大を図るとともに、地産地消や環境に配慮したイベントとすることでSDGs推進への市民の理解も促進してまいります。
このような中、国は来月に「食料・農業・農村基本計画」の改定を予定していることから、本市におきましても5年後を目標とした「鯖江市農業・林業・農村ビジョン」および「鯖江市食育推進計画 元気さばえ食育推進プラン」の改定を行います。国・県の事業を活用しながら、本市の実情に即した計画とすることで、持続性のある農林業と農村の活性化、食と農と健康へつながる食育への展開を図ってまいります。
続きまして、基本目標2「若者が住みたくなるまちの創造」についてでありますが、県の「周遊・滞在型観光推進事業」を活用して改修を行っております、ラポーゼかわだにつきましては、現在、営業を行いながら新宿泊棟の宿泊室や無料休憩所の工事を行っております。来年度は体験棟やエントランスホール、フロントの改修のほか、施設内サインの見直しや売店エリア、待合スペースの整備などを行い、来館者が利用しやすくインバウンドにも対応できる施設となるよう努めてまいります。
次に、10年目の節目を迎えました提案型市民主役事業化制度につきましては、過去最高となる56事業を市民主役事業として予算計上いたしました。受託団体は、当初はNPO法人が中心でしたが、近年、女性団体や若者団体等の市民グループ、これまで関わりの少なかった企業等と多様化しており、その数も初年度の9団体から過去最高の43団体へと大幅に増加しております。市民が自発的に新たな公共の一翼を担うという本事業の目的が、広く浸透した結果であり、更なる推進を図ってまいります。
また、学生連携事業についてでありますが、鯖江市役所JK課プロジェクトが6年目を迎え、全国での展開が進む中、OG16人が再びまちづくり活動を行うとともに、JK課での経験を現役メンバーに伝えていきたいとの思いから、昨年10月に鯖江市JKOG課を結成しました。来年度から、提案型市民主役事業としてJK課現役メンバーの企画の実現化をサポートする予定であり、鯖江への深い愛着の表れであると大変心強く感じております。
一方、鯖江高等学校・鯖江商工会議所・鯖江市の3者連携により進めております「地域との協働による高等学校教育改革推進事業」につきましては、今年度は吉川ナスのレシピ開発や誠市会場での吹奏楽演奏、保育行政やSDGsに関する出前授業を実施したほか、来月17日には1年生を対象に市内で活躍する方や消防署および市の職員を講師とする、「鯖江を知る」特別授業を行うなど、鯖江の魅力や素材、人材を授業に取り入れて、新たな視点で地域を探求する先進的な取組みを行っております。来年度からの高校再編を控える同校ですが、これからも特色ある教育の実施により、まちづくりに興味を持ち、参画する生徒が増加することに期待しております。
次に基本目標3「若くて元気なまちの創造」について申し上げます。
はじめに、子育て環境の整備についてでありますが、保育士等の人材の確保は、待機児童0を目指す上で喫緊の課題であり、会計年度任用職員制度の導入を契機に、一層の処遇改善を図るとともに、昨年より開始しました保育士修学資金貸付制度の継続、県の保育人材センターとの連携による潜在的保育士の掘り起しなどに取り組んでまいります。また、保育・幼児教育施設や子育て支援施設において、やりがいを持って生き生きと働いていただけるよう、公立保育所等への事務員・補助員の配置、民間保育園等における保育支援者の雇用やICT化への支援など保育に専念できる環境を整備してまいります。併せて、現在の早稲田保育所を活用し来年4月の開所を目指しております新子育て支援センターにつきましては、今後、関係機関、関係団体、利用者等のご意見も伺いながら、整備内容の具体化を進めてまいります。また、民間保育園等の増改築や防犯対策に対する支援、公立保育所等における維持補修工事にかかる費用を3月補正および当初予算に計上したところであり、更なる保育環境の向上に努めてまいります。
一方、多子世帯への子育て支援の充実を図るため、県の多子世帯子育て支援応援プログラムを活用し、9月から第2子以降の0歳から2歳児を在宅で育児している家庭を対象に、経済的状況に応じて手当を支給するとともに、同じく0歳から2歳児について、国の幼児教育・保育無償化の対象とならない保育料の無償化を第2子まで拡充します。さらに、子ども医療費につきましても、10月から対象者を現在の中学3年生から18歳に引き上げ、保護者の経済的負担の軽減と子どもの健康増進も図ってまいります。
なお、今年4月の開園を目指しています「しんとくこども園」につきましては、4月1日の開園に向けて、既存園舎の給食室の整備や保育室の改修、外構工事などを順調に進めております。
次に、今回新たに、国の学校施設環境改善交付金の採択を受け、鳥羽小学校と吉川小学校の体育館および河和田小学校の校舎と体育館のトイレ改修工事を行います。これにより、平成15年度から始まりました小中学校のトイレの洋式化等改修工事が完了します。
また、国では、Society5.0時代を担う人材の育成と、誰一人取り残すことのない一人ひとりに応じた個別最適化学習の実施に向け、学校における児童生徒1人1台のタブレット端末と高速大容量のネットワーク環境の整備等を目指す「GIGAスクール構想」を閣議決定し、補正予算に盛り込みました。これを受け、本市におきましては、今年度進めております、体育館など校舎の一部への無線LANの整備に加え、全ての普通教室等にも無線LANを整備し、クラス全員が動画を同時に視聴することができる環境とします。これにより、これまで整備してまいりました電子黒板等も活用することで、個別学習や協働学習などにおいてICTをフルに活用できる環境となり、さらに引き続き、タブレット導入等を計画的に進め、更なるICT教育環境の向上に努めてまいります。
次に、2020東京オリンピック・パラリンピックのホストタウン事業および日中交流事業の一環として、今年4月25日から29日にかけて、中国体操ナショナルチームの事前合宿を総合体育館で行うこととなりました。5月2日から東京の有明で開かれるアジア選手権大会に向けた事前練習も兼ね、代表選手男女12名を含む25名程度の選手団が来鯖する予定であります。現在、中国本土で新型コロナウィルス感染者が増加しており、日本国内での感染事例も散見される中、健康管理や感染防止における選手をはじめ関係者の皆様のご労苦に対しお見舞い申し上げます。一刻も早い事態の終息を念願するとともに、事態の推移を注意深く見守ってまいります。
また、今年は、鯖江藩が成立してから300年の節目の年に当たることから、鯖江藩および藩主間部家ゆかりの資料を一堂に集めた展覧会を開催します。日本の歴史にも足跡を残す歴代藩主や鯖江藩にまつわる資料を、鯖江はもちろん京都・新潟・千葉など、関連の地からお借りし、鯖江の歴史への理解促進と郷土への愛着と誇りの醸成を図ります。
次に、手話言語条例の制定についてでありますが、先月に検討委員会からの答申を受け、今議会に条例案を提出させていただきました。今後、この条例をもとに、手話は言語であるとの認識のもと、手話の理解を広め、手話を使いやすい環境にするための施策を推進するとともに、全ての市民が支え合いながら安心して暮らせるまちづくりを目指してまいります。
次に、基本目標4「安心で快適に暮らせるまちの創造」への取組みについて申し上げます。
まず、冠山峠道路の整備につきましては、北陸新幹線敦賀開業に合わせて全線が開通するよう、引き続き、県や近隣自治体との連携を密にし、関係機関へ要望活動を行ってまいります。
また、河川等の整備状況についてでありますが、新立待排水機場につきましては、既に供用を開始しておりますが、残っていた場内舗装と外構の整備も終え、全ての事業が完了いたしました。和田川排水機場につきましては、老朽化対策として、4号ポンプの主原動機の更新工事は昨年6月に完了し、引き続き3号ポンプの主原動機および自家発電設備の更新工事を実施しております。
吉野瀬川の堤防改修につきましては、現在、嵩上げ工事を進めておりますが、これに付随する日野川と吉野瀬川の合流点付近に架かる水門橋の架け替え工事について、一部工事に着手したところであります。
また、国の「防災・減災、国土強靭化のための3か年緊急対策」では、日野川の石田橋下流と吉川橋下流の2か所について、立木伐採や土砂撤去が完了しており、現在、日野川の石田橋直下流と有定橋下流、浅水川では黒津川合流点付近と下河端町の河端橋付近、鞍谷川においては、松成町の松成橋付近と吉谷町の新幹線高架橋付近について施工しております。さらに、堤防の舗装につきましては、浅水川では黒津川排水機場から北陸自動車道までの区間および日野川合流点付近については完了し、日野川右岸の糺橋から鯖江大橋までの未舗装区間について施工中であります。今後も引き続き、市民の安全・安心のため、県と連携し、この「緊急対策」の継続について、国に対し強く要望してまいります。
一方、治水対策事業につきましては、日之出舟津雨水幹線および丸山二号雨水幹線は一部取付を除き完了し、「田んぼダム事業」につきましても、引き続き、上河端町、田村町、別所町において施工中で、新たに下河端町、持明寺町、乙坂今北町においても整備を行うとともに、上流域での取組みが効果的であることから、越前市および南越前町に対しても整備を働きかけてまいります。
次に、本市では、災害が発生あるいは発生の恐れがある際に、避難に関する情報を防災行政無線や防災アプリによる通知、鯖江市災害・緊急情報メール、エリアメール、広報車などによりお伝えしております。この防災行政無線機につきまして、電波法の改正により使用できなくなることから更新を行うとともに、遮音性の高い家屋内や風雨の強い時など音声が聞き取りにくい状況でも防災情報を電話で確認できるテレホンサービスを導入します。さらに、防災行政無線や防災アプリ、電子メールによる情報を受け取ることができない方には電話による情報伝達も行うほか、市内全域に、瞬時に、漏れなく情報を伝える方法について調査・検証してまいります。一方、県および市において策定中の市内河川の浸水想定図が夏頃に出そろうことを受け、来年度中にハザードマップの更新を行います。発災時の被害の範囲と程度、避難経路や避難場所などを市民の皆様に周知し、迅速かつ的確な避難を促すことで被害の低減を図ってまいります。
また、立待公民館の耐震および大規模改修工事につきましては、公民館運営協議会等で住民の皆様のご意見をいただきながら実施設計を進めており、来年度に工事を実施いたします。工事中の公民館仮事務所を西番スポーツセンター内に設ける予定であり、近隣や利用者の皆様にはご迷惑をおかけいたしますがご理解とご協力をお願いいたします。
以上、令和2年度の当初予算案に掲げる主要な施策や事業を中心に概略を申し上げました。
この結果、令和2年度の本市の一般会計の予算額は、過去最高の規模となる268億4千万円となり、前年度に比べ7億3千万円、率にして2.8%の増となりました。
その主な要因としましては、防災行政無線の改修や退職手当の増により、総務費で1億9千345万円余の増、幼児教育・保育無償化や医療費助成の拡充により、民生費で2億7千161万円余の増、衛生費で6千401万円余の増、文化の館の空調改修や立待公民館の大規模改修などにより、教育費が6億7千424万円余の増、消防費で2千688万円余の増となったことによるものでございます。
一方、ラポーゼかわだの第2期工事に係る経費を計上する一方で第1期工事が完了したことにより、農林水産業費で1億7千217万円余の減、工場立地助成金および中小企業資金等預託金の減により、商工費で1億1千415万円余の減、「元気さばえっ子・夢みらい債」の満期一括償還額の減により、公債費で1億8千592万円余の減となりました。
また、特別会計におきましては、国民健康保険事業特別会計において、県への国民健康保険事業費納付金の減額および被保険者数の減少により前年度に比べ2億200万円の減、介護保険事業特別会計において、要介護認定者の増加に伴う保険給付費の増により2億3千760万円の増となりました。
企業会計におきましては、上水道施設管理システムの更新により、水道事業会計において3千730万円の増となりました。
また、令和2度末の基金残高につきましては、財政調整基金は31億5千120万円を確保することができる見込みとなり、不測の財政需要にも備えることができると考えております。市債残高につきましては年々減少し、令和2年度末には258億3千602万円余となる見込みとなりますが、このうち、地方交付税の代替財源とされる臨時財政対策債を除く市債残高は142億3千965万円余と、前年度末見込額と比較して、5千45万円余の減となる見込みであります。なお、事業費補正により後年度に交付税措置される優良債を中心に借り入れていることから、自主財源で償還しなければならない実質的な負担額を、令和元年度末で約90億円と見込んでおります。
以上の結果、一般会計に特別会計、企業会計を合わせた鯖江市全体の令和2年度予算総額は、468億610万円となり、前年度に比べ7億9千320万円、1.7%の増となりました。
次に、令和元年度補正予算案について、その概要をご説明いたします。早期退職者の増等に伴い退職手当費に4千295万円余、財政調整基金積立金に1億円、人事院勧告による私立保育所運営費の増により2千800万円、鯖江クリーンセンター新炉建設基金に係る広域衛生施設組合負担金に6千797万円余、国の補正予算に伴うものとして、道路整備など社会資本整備に1億2千771万円、小中学校の校内通信ネットワーク整備に5千277万円余、小学校3校のトイレ改修に8千800万円、このほか道路補修や公共施設の環境整備を前倒しで実施するため1億5千152万円余を計上しました。また、令和2年度会計へ繰越すための繰越明許費の設定や来年度の予算執行に向けての準備と指定管理者の人件費見直しに伴う債務負担行為の設定、文化センター耐震改修事業費の減による継続費補正、各種事業の決算見込みによる精算などを計上しました。これらの結果、一般会計の補正額は6億4千900万円、補正後の予算総額は275億8千410万円となりました。
また、特別会計および企業会計におきましては、国民健康保険事業特別会計をはじめ、後期高齢者医療特別会計、公共下水道事業会計において所要の補正を行いました。この結果、特別会計等を含めた令和元年度の予算総額は477億240万円となり、昨年の3月補正後と比較して2.5%の増となりました。
その他の議案につきましては、それぞれの理由に基づきご提案しました。
以上、私の市政に対する所信の一端と今回提案いたしました議案について申し上げました。何とぞ慎重にご審議のうえ、妥当なご決議を賜りますようお願い申し上げます。
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