鯖江メガネファクトリー

浪漫堂
YELLOWS PLUS

武器=「鯖江」に住んできたこと

--このお店を始めようとしたきっかけは?

店内風景

福井市の方でやってる、田中眼鏡本舗自体は、最近やっと少し認知度があがってきましたが、その店を始める以前に、彼(田中眼鏡本舗店主・田中昌幸氏)も私も同じ眼鏡小売店で働いていたことがあるんです。その時に、彼には、色々教えてもらって、私の師匠みたいな人なんです。
その後私は、メガネショップ「オズ」っていう普通の個人経営店をやってたんですが、2店目を出店となった時に、彼に来てもらえないかと。お店の形態でいうと、田中眼鏡本舗は高品質なジャパンメードを専門に扱うセレクトショップ、こっちの浪漫堂は、鯖江の職人技を活かしたオーダーメードショップという位置づけなんですよ、一応。まあ向こうでもオーダーは受けますし、ここにもメーカーブランドのメガネは置いてありますけどね。

-- 2店舗目をつくろうとした時に、ここもこういうお店になったんですか?

そうですね。よく「コンセプトショップ」って言ってもらえるんですけど、当時は福井県内にはなかったんですよね。もう7年くらい前ですから。全国的には、大阪や東京などにはあったんですけど。コンセプトショップ自体がマニアックな人を狙った形態ですよね。で、そうした時に福井県の人口って少ないじゃないですか。
その少ない人口の中で店をやろうとする時に、さらに客層をしぼっちゃうとまあ、まずやってけないと普通みんな思うところですよね。

--はい。

だから誰もやってないところを狙ったって感じですよね。(笑)。
最初3年くらいはもう、ひっどかったですね。大赤字(笑)。商売が限られたところになってるんで、認知度が上がってくるまでは、まあ我慢しないとっていうね。

----こういったセレクトショップとコンセプトショップを兼ねたような形で最初からやろうと思っていたんですか?

全国的に見て、そういったショップとしては、うちはかなり後発組なんですよね。福井にはなかったのでじゃあうちがやろうかっていう。でも例えば仮にうちが東京・大阪に進出したときに、他の老舗とおんなじような商品を置いたセレクトショップを出しても絶対太刀打ちできないですよね。

--…。

小棹葛彌氏

じゃあ何で勝負するかっていうと、「鯖江」に住んでるってこと。それが武器になる。高校の同級生がメーカーに勤めてるとか、親戚や近所の人がメガネ関係だとか、いっぱいありますから。そういうコネクションを使えばもっと色んなおもしろいことができる。そうやって考えて出来たのがこの店なんですよね。

--なるほど。

これは東京・大阪などのショップではできませんよね。できたとしても、注文から商品を渡すまでの途中で卸屋さんなんかが入ってきてしまう。私の場合は職人さんに直接注文をかけちゃうんで仲介がいらないんですよ。まあ、最近職人さんに仕事があんまりないっていうのもあったんですけど。どんどん中国で作ったりするメーカーが増えてきましたから。職人さんにこういうのやりませんか?とお願いしたんです。
それと、オーダーの価格は他と比べたら結構安いと思うんですよね。

--どうしてですか?

あいだがないから。自分で図面つくって直接職人さんのところに行って作ってもらう。

-- 鯖江の職人さんや業界の人たちとの繋がりが深くなっているんですね。

まあ、今までの人間関係の中から、「誰かプラ枠を作る職人さん知らない?」って聞けば「じゃあこの人に聞いてみたら?」というふうに、探すことは可能ですよね。で、その人のところに実際行って、話をしてみて、こういうのやりたいんですけどできませんか?と、そういうことが自分で全部できちゃうんですよね。それが鯖江に住んでる強みでしょうか。日本一有名なセレクトショップの人たちもできないことができるっていうのが。規模は小さいですけどね。

--オーダーの価格の安さに関しては、自分で図面がひけるっていうことも大きいですか?

まあ、でもその図面も我流ですけどね。やり方を習ってやってるわけではなく、趣味でパソコンで絵を描いてたんで、図面も書けるんじゃないかと思って。書いてみて職人さんに「これでできる?」って聞いたら、「ああできるできる。」って(笑)。

なるべく、入りにくいお店
武器=「鯖江」に住んできたこと
見習うべきは…?
繋がりセレクト

How to メガネのオーダーメード