鯖江市内で唯一ほぼ完形で伝来した『黄(おう)檗(ばく)版(ばん)（鉄(てつ)眼(げん)版(ばん)）一(いっ)切(さい)経(きょう)』。全2,094冊（275帙(ちつ)6930巻）のうち2,042冊（2冊重本）が経蔵に納められる。
　平等会寺の『記録帳』には、明治39年（1906）に下河端村の八田治郎兵エ・八田善左エ門・八田平七より『黄檗版一切経』が寄進されたこと、元は妙国寺（金沢市）から傅(ふ)大(だい)士(し)および普(ふ)建(けん)・普(ふ)成(せい)の二童子とともに金130円で買い受けたものであることが記録されている。
　なお、妙国寺の一切経は宝暦12・14年（1762・1764）に宝蔵院より納入されたことが『全(ぜん)蔵(ぞう)漸(ぜん)請(じょう)千(せん)字(じ)文(もん)朱(しゅ)点(てん)』簿より確認できる。また、傅大士および普建・普成の二童子の3尊は経蔵の一種である輪(りん)蔵(ぞう)（一切経を納める回転式の書架を持つ）を創設した人物として、宗派に関係なく輪蔵に祀られることが多い。平等会寺経蔵に安置される3尊には作者や造像年等の銘はないが、妙国寺からの伝来品であることを鑑みると、一切経の施入と同時に造像されたと考えられ、基準資料に準ずる作品といえる。

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