posted:2013.05.21
メガネザンマイvol.66 「studio skyrocket by tange」 後編
※前編はコチラ
--ブランド名に込められた思いを教えてください。
ブランド名についてはそこまで大きな意味はなくて、実は大学の頃から使っているメールアドレスに「skyrocket」が入っていて、それで採用したんです。(笑)
--ええ、そうなんですか!?
当時何気なく付けたアドレスなんですが、ずっと使っていると愛着が湧いて、ブランド名もこれにしようと思いました。それにskyrocketは「打ち上げ花火」という意味なんですが、他にも「上昇する」「のろしを上げる」という意味もあるんですよ。すごいポジティブなワードなので気に入ってます。
自宅ガレージを改装した工房。
--なるほど、おもしろいですね!では「studio skyrocket by tange」が目指すメガネづくりを教えてください。
「メガネは楽しい」と思えるようなものづくりを目指します。そもそもメガネは制約が非常に多くて、レンズの形や素材の特性など、色んな視点から考えないといけないものですが、そこが一番面白いところでもあります。制約を守りつつも、どこまで表現の可能性を深めるのか。僕はそこを追求したい。そして一目見てこれは丹下がデザインしたメガネだなと思われるようなメガネを作りたいですね。
--では記念すべきファーストモデルを見せていただけますか?
つい最近初めて展示会に出展し、ファーストモデルとして3シリーズを発表しました。僕の作るメガネは大量生産ではないですし、「自分でデザインして、自分でつくる」という体制をとっているので、流行に流されず自分がこうだと思えるメガネを作りました。反応は今のところ上々で、個性があり、こだわりをもった小売店様からいくつかお声掛けいただけました。
左から「SS-05」「SS-07」「SS-01」
--すごくカッコイイですね!掛けると楽しい気分になりそうです!フレームがそれぞれ左右非対称なのは、なにか意図があるのですか?
そもそも人の顔は左右非対称ですし。そう考えるとメガネ=左右対称にしないといけない理由はないので、あえてアシンメトリーのフレームにすることで、表現の可能性が広がるんじゃないかと思って挑戦しました。
エッジの効いたラインは顔料を埋め込み、やすりで削るという非常に手間のかかる作業。--なるほど。他にこだわった点はありますか?
工房にある機械は、最先端の設備ではありません。では僕に出来る戦い方って何だろう?とて考えた時に「手でしか出来ない表現方法を考える事」、そのための「手間は惜しまない事」そして「先輩たちに教わった技術を作品に落とし込む事」、「僕なりの、細かな、しっかりした作り込みをする事」にこだわっています。
--テンプルに印字されている「20% Machine. 80% Hand」はどういう意味なのですか?
「20% Machine. 80% Hand」という表記が、丹下氏のものづくりへの誠実さが伺える。僕はコンピュータで図面を引かず、手書きで図面を描き、型をつくり、そこからメガネを作るという昔ながらの作り方を踏襲しているのですが、メガネは機能があってこそのもの。光学性能のことを考えると機械に頼ることも大事だと考えています。工程によっては機械でつくり、また手でも作る。手の表現力と、機械の精度の正確性を併用しています。だからテンプルには「20% Machine. 80% Hand」と打刻しているんですよ。すべてハンドメイドと書いてもよかったんですが、なにか違和感があって。。(笑)
--最後に、今後の展望を教えてください。
ブランドテーマである「楽しいメガネ」という軸のもと、制約の中でどう表現していくかをもっと突き詰めていきたいですね。先日の展示会でも色々課題も見出せたので、ユーザーや小売店のことを考えつつも、自分の色をどう出すかのバランス感覚を磨いていきたいです。それと、現段階ではまだまだstudio skyrocketの取り扱い店が少ないので、メガネに対する思いを共有でき、自分のメガネを好きになってくれる小売店の方に出会えたらいいなと思います
studio skyrocket by tange / スタジオ スカイロケット バイ タンゲ
眼鏡作家 丹下貴礼 / Takanori Tange
〒916-0057 福井県鯖江市有定町3丁目2番地27
Mail :skyrocket8@ur.ttn.ne.jp
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