メガネのアウトレットセールや、メガネ小売店発のメガネブランドなど、メガネ産地鯖江でも類を見ない挑戦に取り組んでいるメガネ屋さんがあります。鯖江にお店を構えるメガネ宝飾時計販売店「ウィズ中央堂」社長の荒谷直嗣氏は、お客様の目線に立った様々なアイデアを実践されてます。具体的にどのようなことをされているのでしょうか。その経緯とは?2011年7月に福井市でオープンした分店「SABAE・OPT」にてお話を伺いました。
お客様のためにお店がある。
荒谷 直嗣氏
--以前オプティガールで取材させていただいた「レイナ」とこちらの「SABAE・OPT」は、「ウィズ中央堂」というメガネ小売店の分店という形になるんでしょうか?
そうですね。私は、鯖江を中心にメガネ・宝飾・時計の小売店「ウィズ中央堂」の3代目になります。この「SABAE・OPT」は、2011年の7月にオープンしました。
-- なぜこの福井市にお店をオープンしようと思われたんですか?
「レイナ店」や以前夜10時から12時までの2時間のみ営業していた「SABAE・OPTアウトレット店」は福井市内や、丸岡、三国、大野など遠方からもお客様がいらしゃっていたのですが、毎日使用する生活用品であるメガネは色々なトラブルや不具合が必ずと言ってよい程起こります。そんな時ちょっとしたメンテナンスにわざわざ鯖江まで来て頂かなくても良い様に、以前から丁度中心になる福井市開発に出店を考えていました。
--実は私はその鯖江にあった「SABAE・OPTアウトレット店」に行ったことがあります!
アウトレット店が営業していた時は、「レイナ」での仕事が終わった後の開店だったので、あまりにも多忙で、睡眠もままならなかったんです。体力的にも大変だったので、お店を閉じようかと思ったのですが、お客様からの「営業を続けて欲しい」という声に励まされて、今こうしてSABAE・OPT開発店内に「アウトレットコーナー」として移転して営業中です。
-- その「SABAE・OPT」では、夜間営業の時と全く同じ様にアウトレットコーナーがあり、安いものだと、2本で5000円のメガネもあるんですね!しかもレンズ込みで!メガネもいろいろな種類があってとても欲しくなります。
お世話になっているメーカーさんや卸屋さんからシーズンの終わってしまったメガネを安く譲っていただいて販売しています。アウトレットなので、お客様にはできるだけ安くメガネを買っていただきたいので、ほとんど利益なしの値段設定で販売しています。また鯖江のメガネ製造会社で働いている方に対しては、一般の小売店が嫌がるレンズのみを入れるというフレーム持ちこみも昔から、現場の方に喜んで頂けるように積極的に現場価格で行なってきました。
-- 遠方のお客様のために福井にお店をオープンしたり、安い値段でメガネを提供したりと、本当にお客様目線でお店作りをされているんですね。
「フレームは今のまま、レンズだけ形を変えたい!」というようなリフォームも、なんと店頭で行っています。
そうですね。普通「お店が儲かるためにお客様が必要」という考え方になりがちなのですが、うちは「お客様のためにお店がある」という考え方なんです。
-- お店のキャッチコピーとして、「本当にいいメガネを安く作るなら」というメッセージが印象的ですよね。この言葉も、お客様第一という考え方によるものなんでしょうか?
本当にいいメガネというのは、「鯖江産だから中国産だから」と、産地で善し悪しを決めるのではなく、私が目で見て「良い!」と思ったメガネだけを取り揃えているということですね。次に、安く作るというこだわりについてですが、通常小売店では、卸屋さんから入ってきた値段+小売店の利益分を加えて販売をするのですが、それが異常に高いなと疑問に感じていました。この利益分をできるだけ安く抑えて、メガネの値段を安くお客様に提供したいという思いなんです。
-- なるほど。本当にお客様には嬉しい考え方だと思います。
お客様のことを考えたら、絶対にこの方がいいんですよね。
メガネ小売店発の自社ブランド
-- 「SABAE・OPT」では、小売店では珍しい自社ブランドを立ち上げているそうですね!
SABAE・OPTのメガネはい。その名も「SABAE・OPT」というブランドです。
-- どうしてブランドを立ち上げようと思われたんですか?
毎日お店に出てメガネを販売していると、これまでのメーカーさんが考えるフレームは実際にレンズが入ったときにお客様が「どう見えるか」ということを、あまり考えていないのではないかという疑問がありました。特に最近のデザインほど、見え方に関して、「歪んで見える」「気持ち悪い」というお客様が多くみえます。そこで、メガネとしてきちんと使えるメガネが必要だと思い作り始めました。
-- なるほど。具体的にどういう部分で工夫されているのですか?
まず、目に対してフレームが角度がつかないようにしています。レンズは正面から覗くことで焦点が合うようになっていますので、視線に対して垂直にフレームが来るようにデザインしています。他には、目とレンズとの間の距離を最も商店が合いやすい12mmに設定するなどですね。
鼻パッドは、鼻が痛くならないものを取り寄せて、社長自ら取り付けるというこだわり。--焦点が合いやすい距離があるなんて初めて知りました!デザインは社長がなさっているんですか?
アイデアは私が考えて、それをデザイナーに伝えています。うちのお店のスタッフにもアドバイスをもらうこともありますよ。
--フレームのこだわりは他にありますか?
「いかにも日本製」というのを目指しています。「いかにも日本製」というのは、やはり技術面の凄さですよね。しかし、今までの日本製のメガネは確かに真似できない技術力が詰まっているのですが、お客様には違いがよくわからない・私たち小売店もうまくアピールできないという問題がありました。そこで、「SABAE・OPT」はお客様にもわかりやすい目に見て分かる部分に技術力を結集しました。
-- 目に見てわかる技術とは?
良いメガネの条件は、軽さ・しなやかさが一番ですよね。そこで、軽い素材やバネ性を鯖江の技術力でクリアしました。
-- メガネは鯖江のメガネ屋さんにお願いしているんですか?
幸い、私の同級生は鯖江でメガネ職人をしている人が多いので、「うちで作ればいいよ!」と言っていただき、2年前のiOFTでデビューしました。最近ではフリーペーパー「Palet」とコラボして、一般の方からメガネのデザインを募集して実際にうちのブランドで販売するというイベントも行いました。こういった人の縁に恵まれているので、色々と挑戦できます。
-- 確かに、単なるメガネ小売店にとどまらず、アウトレットをしたり、ブランドを立ち上げたりと、とても意欲的ですよね!
鯖江はメガネの聖地と呼ばれていますが、そこにあぐらをかいていてはいけません。今や、中国も韓国も技術力は日本と拮抗していますよ。お客様の声をもっと聞きながら、どんどん変革していかないと。私も大好きな鯖江の為に、お客様の為にがんばります!
-- 本日はありがとうございました。
SABAE・OPT
営業時間 12:00-20:00
定休日 水曜
福井県福井市西開発2-10-1 平和堂フレンドタウン福井開発店内
TEL.0776-52-2235
http://sabae-opt.tenponyan.com/