鯖江メガネファクトリー

オプトデュオ

生き残ってきたもの

-- 「福井」という都会ではなく、地方都市で、デザインというクリエイティブなことをやっていく、という点で、不安はありませんでしたか?

パソコンに向かう山岸氏

いや全く(笑)。どこでもできますよ(笑)。

-- すごいですね!でも、やっぱりファッションの流行とかは、日本では、まず東京から発信して・・・っていう現状があるわけですが、その点では、どうでしょうか?

 確かに東京の方がメイクやファッションの流行の回転とか発信は早いかもしれないですね。ただ、自分たちのブランドは、そういうトレンドを眼鏡業界が引っ張っているという傾向ではないと思っているんです。あまり先走りすぎても、難しいんですよね。トレンドを活かすタイミングというのは、メガネのデザインをしていて、難しいポイントですね。

-- デザインを考えるときは、なにかサンプルのような実物を作って考えていくんですか?

 そうですね。サンプルを作ったり、紙を切ってシルエットを確認したり、何もせずに作ってしまう場合もありますね。色々です。自分の頭の中のイメージが、どれだけ明確になっているかで、アイデアの練り方は変わりますね。

-- なるほど。

 僕がサンプルを作る時に見ているのは、「サイズ感やバランス」ですね。ここが一番迷うところです。形やイメージはハッキリしているんですけど、どういうサイズで作るかっていうところが。ここは0.1ミリ拡げるとか・・・。ここの幅を18ミリにするか19ミリにするのかで・・・10日間も悩んだり(笑)。

YELLOWS PLUSロゴ

-- え〜!・・・やっぱり0.1ミリでシルエットは相当変わるんですか?

 いや〜、実際見たらそんなに分からないと思いますよ(笑)。それでも、こだわってしまうんですよね。

-- デザインを考えるとき、どういうものにインスピレーションを受けたりしますか?

 そうですねー。うちのブランドは、トレンドに合わせてどんどん新しいモデルを生んでいくタイプではなくて、もっと身近にあるような、過去にあったモデルに、自分たちのテーマを落とし込んでいったり、ディテールを整えていったり、今の時代に美しく見えるバランスに直していったり。昔からあるものって、形だけが良いんじゃなくて、使いやすさとか、丈夫さとか・・・いろんな面で“生き残ってきたもの”だと思うんです。どこかからやってくるインスピレーションというよりも、そういった、既に在る“生き残ってきたもの”に安心感があって、それを更に僕なりに、改良しているという感じですね。

-- どこに視点を置いて作っていますか?

 やっぱり「美しい形」ですね。「この形でキレイかな?」っていう問いかけを常に自分にしています。

--スランプはありましたか?

 今のところスランプは、まだないですね。今がピークなのかもしれませんね(笑)?

-- いやいや(笑)。

 でも、デザインを考えていて、辛いことはありますね。どうにもこうにも行き詰った時に、そのアイデアを壊さなきゃいけないときの決断は、辛いですね。

-- あ〜。(一同共感。)

山岸氏

 リセットしなきゃいけない時や、もうこれ以上、線を動かせない瞬間があるんですよね。どんどん崩れていくなぁ〜っていう。
 そういう時は辛いけど、壊しますね。そして、しばらくその仕事から離れます。見えるところに図面を貼っておいて、見るだけにしてます。

-- 客観的になるっていうことですね。

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