鯖江メガネファクトリー

ゲンバシュギ

 
 

丹羽眼鏡工業株式会社社長である丹羽雅彦氏は、伝統の技を生かしつつ非常に丁寧な仕事を心がけておられるコンビ枠の職人。その仕事ぶりが如実に現れている、株式会社 ノバ(NOVA)発売の「丹羽雅彦」シリーズはマニアが憧れる逸品です。社長の「職人というほどの者では…」と仰る謙虚な姿勢から、メガネづくりの大切さを教わりました!

作り手の顔が見えるメガネ


機械化が進んでいるとはいえ、丹羽さんの現場ではすべての工程でほぼ人の手が働いています。

--御社はどのようなお仕事をされているんでしょうか?

メタルやコンビメタル(メタルとセルの組み合わせ)フレームを製造しています。

-- 昨年のIOFTで、「巻き」という工程を披露されたそうですね。「巻き」とはどのような行程なんでしょうか?

「巻き」は、メガネのリム(フレーム部分)を形作る一工程です。レンズの形に合わせて、専用の針金を巻いて作ります。(写真参照)

-- 難しそうですね。今も手作業の「巻き」でフレームを作る事はあるんですか?

はい。一部ですが、ありますよ。手作業は、機械に比べてリムの寸法や巻き始めの位置が正確でロットによるバラツキがほとんど無いです。

-- 機械よりも手作業の方が正確だなんて意外です。株式会社 ノバさんから丹羽雅彦さんの名前がブランドになったメガネが販売されていますよね。どのようなきっかけで、このメガネは誕生したんでしょうか?

MADE IN JAPANをアピールして海外ブランドと差を付けることがきっかけだと思います。そこで、日本はどういうところでアピールできるかと言えば、やはり「丁寧」だとか「品質」ということで、作り手の顔が見えるようなブランドをということで誕生しました。先ほどお話しした手作業の「巻き」のように、一つ一つ丁寧に大切に作っているというのをアピールしたいんです。

-- なるほど。


明るく綺麗ながら、歴史が感じられるとてもカッコいい作業場です!中には50年前に作られた機械も。

仕上げの段階では、実際に掛けてみた感覚を頼りに、調子を取って仕上げています。以前、中国のメガネ工場見学に行ったときにこういうことがありました。工場を見学すると機械が日本よりも随分充実していて驚いたんですが、お茶を頂くときに出された茶碗が欠けていたんです。細かいことですが、そういう細部に心遣いがなされているかというのはとても大切だし、眼鏡でいうとお客さまを思う小さな心遣いが最終的に掛け心地に繋がると思うんです。日本はそこをこれからも大切にしていかなくてはいけないと思います。

-- なかなか自分の名前がブランドになることってありませんよね!はじめて、丹羽雅彦モデルのメガネを作るというお話をいただいたときはどのようなお気持ちでしたか?

最初にお話を聞いたときは恥ずかしかったですね。私はまだまだ職人と呼ばれるにはまだまだ若輩者だし、ここ産地には私よりも優れた方々が大勢いらっしゃいますから。眼鏡の工程は約200ほどありますが、鯖江にはそれぞれの工程ですばらしい技術を持っていらっしゃる職人さんがおられる。私はそういう方々に協力してもらいながら作っているものですから、私の名前が前面に出ていいものかと思いました。

-- ご自分のお名前が入るとメガネ作りにも力が入りますね!

そうですね。やはりちょっと身を引き締めてつくりますよ(笑)。


使用する道具は、既製品を使いやすいように削って手に馴染ませる。

まじめに作る。


丹羽雅彦氏

-- メガネ業界に入ったきっかけは?

父や叔父がメガネ作りをやっていたので、小さい頃からメガネ屋になるものだと思っていましたので、大学の工学部を卒業し父の会社で働き始めました。

-- なるほど。メガネのことはお父様から教わったんですね。

はい。父の時代は、本当に手作りでメガネを作っていましたから、今のメガネ職人でも知らないことをたくさん知っています。私たちからすれば、父のような人たちこそ、「メガネ職人」なんです。今もメガネ作りで迷うことがあれば、「昔はどうしてた?」とアドバイスをもらっています。

-- メガネ作りの上で大切な事は?


次の作業がしづらいということで、ネジをひとつひとつ付け替えています。このこだわりと丁寧さが丹羽さんに任せてよかったと思える所以なのだと思います。

メガネ作りはたくさんの工程があってそれぞれをたくさんの職人さんが分担して作っています。だから、次の工程のことも考えて、次の職人さんが作業しやすいように作るというのが大切ですね。

-- メガネ作りで難しいところは?

忙しい時期が集中することかな。メガネ業界は展示会などがあると、各社それに向けて新作を発表するので、忙しくなります。つまり産地のどの工程も忙しくなる時期が同じ。どこかが少し遅れたりするとその後の工程にも影響するから納期に間に合わせるのが大変になるわけです。また、素材の進歩についていくのも大変。特にメガネの材料が合金からチタンに変わったときは、扱いにくくて何度も壁にぶつかりましたね。

-- では、やりがいを感じる瞬間は?

商品を納めたときに、「良かったよ」とか「○○(有名人)が掛けてるよ」という声をいただくと嬉しいですね。長年メガネを作っていると売れそうかどうかが作っていてわかるようになりますよ。でも、これは売れると思っていてもリピート(再注文)がこないのが現実ですけど・・・

-- ちなみに、丹羽雅彦モデルは売れそうですか?

完成前の丹羽雅彦モデル。

売れると思います。チタンの磨きは難しいですが、とても綺麗なメガネなんですよ。

-- ここだけは譲れないこだわりはありますか?

迷ったときは、お客さんの利益になる方を選ぶ、ということですかね。磨き一つにしても「これくらいでいいか」と迷うなら、もう一回バフを当てたり。最近では、丹羽さんに任せておけば大丈夫とか、丹羽さんの作るメガネには味があるということも言っていただけるようになりました。やってきてよかったなと感じる瞬間です。

-- それは嬉しいですね!

今の時代、ただ作っているだけでは駄目ということも言われているけど、まじめに作っていけばそういうように嬉しい言葉を貰えるから、それで良いんじゃないかと思います。

-- 本日はありがとうございました。

 

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  • 丹羽 雅彦 Masahiko NIWA
  • 業   種:丹羽眼鏡工業株式会社 取締役
            コンビ枠職人
  • 生 年 月 日:1958年5月20日
  • 社   名:丹羽眼鏡工業株式会社
  • 1975年創業/従業員数4人
  • 福井県鯖江市沢町21-4-1

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